
- 大長 伸吉
- ランガルハウス株式会社 代表取締役 アパート経営アドバイザー
- 東京都
- 不動産投資アドバイザー
所有している土地は、他にはないとても大切なものです。
登記を所有しているから、この土地の所有権が守られていると安心してはいけない場合があります。
登記の面積について、考えていきます。
土地の所有権はあいまいな部分がありますので注意をする必要があります。
例えば、法務局にて登記をして、登記簿のお名前が記載されたとしても、その土地の全ての権利を取得したとは言い切れません。
その証拠に、登記簿に記載されている土地の面積は、実際の面積とは大きく異なる場合が多くあります。
そのため不動産業者が土地情報を記載しているチラシやマイソクなどでは、公簿面積と実測面積とあらかじめ2種類の記載欄があるほどです。
この公簿面積が登記上の面積で、実測面積が現地にて土地家屋調査士さんが測量をした面積です。
私が土地を売買した時の事ですが、仲介業者から「実測面積は公簿面積よりも10m2程広くなります。」と説明を受けました。
しかし土地を売買して7年後の現在もこの土地の公簿面積は変更するように法務局等からの指導はありません。
法務局にて登記されている登記簿に記載されている面積と民間の不動産業者の実測面積とでは、法務局の数値が正しいように思えてしまいますが、そうではないことが多々あります。
民間の不動産業者の実測面積は比較的最近の境界杭などの情報をもとに、国家資格を所有する土地家屋調査士が最新の装置で作成するケースが多いものです。
しかし、法務局に登記されている公簿面積は何十年間も変更されないままであることが多く、測量をした時期の測量技術の違いや当時の権利のあいまいさが残ったままであることもあります。
所有する土地について、公簿と実測が同じなのか、異なるならばどちらが正しいのかをしっかりと調べて置く必要があります。
今後のアパート経営の事業性に大きく影響しますから。
ここで面積が異なる理由としては、時代の違い、技術の違い、制度の違いの他にももう一つ注意しなければならないことがあります。
それは、土地の面積を計算するもとになる「境界線」の位置がどこなのか。
これは、比較的に信頼のおける実測面積にとって落とし穴になることです。
例えば、隣地との境界杭の位置がずれていたというケースです。
現況測量ですから、現状の境界杭の位置が基準となります。
基本的に境界杭は動かしてはいけないものですので、土地家屋調査士さんも検地関係の確認に踏み込まない調査として依頼を受けたときには、現在の杭の位置を基に測量結果を出してしまいます。
いよいよ、公簿面積も実測面積も信頼が置けなくなりました。
このときに、防御策として知っておきたいものは、境界確定測量図です。
この測量図は、現況測量図を基にして、本地と隣地の所有者がその測量図は正しいものですとの確認をし、その証拠にその測量図に承認のための記名と押印をして、お互いの正面に割り印を押したものです。
これをそのまま法務局に登記するケースもあります。
最近では、昔ながらの付き合いが少なくなったためでしょうか。
または、世代が変わってしまったことも影響しているのかもしれません。
お互い様との言葉が使われることが少なくなっているようにも思います。
本来は、境界線についての争いがないほうが良いものです。
しかし、公簿面積の信頼性、実測面積の信頼性についての制度上の欠陥があることも認識して、皆さんにとって今後トラブルが起こらないように、あらかじめ境界確定測量図の意味と、使い方を知っておけるとよいと思います。
これも、安定してアパート経営を行うために、継承されるお子さんのために、そして入居者のために。
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