安倍首相の経済政策によって本当に景気はよくなっているのか、検証する必要がありそうです。また、日本経済は将来にも渡って良くなり続けるのか、ここにも大事なポイントがありそうです。起業する人にとって今後の景気次第では、開業予定の業種、業態が変わってくることも考えられます。
そこで、安倍内閣の経済政策を分析してみますと。まず、従来以上の金融緩和によって、株式相場は一時的に上昇しました。株式は先行指数ですので、最初に大幅に上昇したことによって、日本経済は上昇気流に乗ることはできました。その後の株式大幅下落で、今後は下降することが予測できます。
民主党から政権が代わったことにより、国民の期待値が高まったことは確かです。社会全体の空気も、デフレ脱却に期待を寄せています。この国民の期待値が、経済には大きな役割を占めています。日本人は、自分の生活を自分で切り開くよりも、国に依存する気持ちが強いですから、内閣支持率の高さもこの景気の期待値に比例しています。
ただ、今後の日本経済を考えますと、決して国民の期待値だけで本格的に回復するとは思えません。安倍政権が現在進めている経済政策は、ほとんどが大企業優先の政策で、決して小企業に利益をもたらすとは思えません。どうしても、2000年初頭のダム論を思い出します。
大企業に利益をもたらす政策を進めることで、大企業の収益が大きくなり、満杯のダムの水が溢れるように、資金は国民や小企業にも流れるというものでした。実際に大企業にもたらされた利益は、株主や役員、内部留保にと消えてしまい、国民にも小企業にも、ほとんどお零れは流れて来ませんでした。
また、領土問題で揺れる対中国、対韓国との関係は、「対話のドアは開いている」と言うだけで、日本の孤立化ばかりが目につきます。昔と違って、日本企業の技術がなければ中韓双方の経済が麻痺する時代ではありません。分野によっては、日本より進んでいる技術があり、日本抜きでもほとんど困らなくなっています。
こうなりますと、安倍首相の指導力が問われます。本気で日本経済の建て直しを考えているのか、靖国神社、憲法改定へと進むための方便なのか。外国に原発を売ることより、行動力と指導力を発揮して、中韓関係の建て直しをしないと、経済は下降線をたどり、アジアからも孤立化して、軍国化へ進んだ戦前の道を歩むことになります。
【一言】
作家の橋本治さんが、「安倍人気の不思議さ 景気回復のかけ声に口をつぐんでしまう」を朝日新聞で特集記事として書いています。安倍首相は、自分の意見に反対する人は全て左翼と決め付ける二元論者です。現在のように複雑で多くの意見のある社会を、二元論で理解しようすると対立が激しくなります。イラク戦争と起こした米国・ブッシュ大統領と似ていて、国民としては単純過ぎる発想が怖いです。
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