(続き)・・毎週日曜日の夜8時から放送されているNHKの大河ドラマ「八重の桜」は、いよいよ前半のヤマ場にさしかかりました。私は殆んどテレビを見ない人間ですが、「NHKオンデマンド」を用いれば都合の良い時にパソコンで好きな番組を見ることができると分かり、今では欠かさず見るようになりました。
ドラマの舞台となっている福島県の会津地方は、私が長年住んでいた山形県のお隣の地域で、県南の米沢住まいだった時には何回も車で会津へ行ったものです。それだけに少なからぬ親近感があり、会津とその方々にはどうしても肩入れしてしまいます。苦しい場面にさしかかると「会津よ、頑張れ!」と心の中で叫ぶのです。
しかしながらストーリーは会津の願いもむなしく、極めて厳しい状況になりつつあります。長州はもちろん、かつての会津の盟友である薩摩までもが敵方に廻り、「新政府」を名乗った彼らは江戸をスルーして会津に怒涛の攻めをかけてきています。後世に生きる我々は、会津藩とそのメンバーがその後どのような運命を辿ったか、いやというほど知っています。
物語を見ていて改めて感じますが、会津藩と藩主である松平容保は、徳川将軍ばかりでなく朝廷や天皇に対しても、誰にも負けず忠誠と貢献を果たしたと思います。それにも関わらず「朝敵」の汚名を着せられるのは歴史の皮肉としか言いようがありません。想像するに、他藩とのやり取りや手続きなどが多少、不細工だったということでしょう。
会津藩は間もなく敗戦を迎え、藩士らは苦しい新時代を生きることになりますが、そんな苦境にもへこたれないのが会津人です。彼らは不屈の「会津魂」でもって明治の世を生き抜きます。とりわけ八重の兄である山本覚馬は素晴らしいと感じています。視力を失っても京都の復興、教育に力を注ぎ、今の京都の繁栄の礎を築きました。
私の友人に会津若松に住む整体師がいますが、彼などを見ていると会津人の強い個性を感じることができます。会津人というと保守的で頑固という側面があり、それは違いないのですが、一方で意外な「新し物好き」な側面があり、一たん火がつくとあっという間に燃え上がる激しさも持ち合わせています。会津人には「硬い」性質と「熱い」性質とが同居しているようです。
さて前回のコラムで、放射線は多量では有害であるものの、微量ではむしろ人体にとって有益な働きをする、必要なものであるというお話をしました。この働きを「放射線ホルミシス」と呼称し、内外の研究者が覇を競ってその有効性、安全性を検証しています。出された論文の数も数千に及び、今や新しい学問分野を形成しています。
しかしながら一方では、一種の違和感を抱かずにはいられません。というのは、これだけ放射線ホルミシスに関する基礎的な研究成果と論文が出されているにも関わらず、この考えと技術を実際の臨床現場に積極的に応用しようという動きが、世界を見渡すかぎり今一つ鈍いと感じるからです。基礎的なデータが揃っているのと対照的に、臨床的な活動が全般に低調なのです。
例えば前述の「バドガシュタイン」を抱えるオーストリアやドイツ語圏ではラドン浴に健康保険が適応されるなど、ラドン浴や放射線ホルミシス療法に対して社会や国民の理解が進んでいます。但しそのようなドイツ語圏でも、大学や中核病院、がんセンターなどの医療機関でホルミシス療法に本格的に取り組むような動きはみられません。
米国でもモンタナ州のロッキー山中に「ラドンヘルス・マイン」というラドン療法の施設があり、リウマチなど様々な難病患者が全米中から押し寄せていますが、米国の著名な大学や病院でラドン浴やホルミシス療法に取り組むような動きが、なぜかみられないのです。このような傾向は他の医療先進国でもほぼ同様です。
こうした情勢の中、我が国では1970年台から東北大学の坂本澄彦教授らが「低線量放射線療法」の研究を続け、悪性リンパ腫に対する低線量放射線照射を行ないました。悪性リンパ腫はリンパ節に発生する悪性腫瘍で、抗がん剤が比較的有効なものの、5年以内に大半が死亡する予後不良な疾患です。
臨床試験の結果は驚くべきものでした。全身に低線量の放射線を浴びたグループは何と84%もの5年生存率を示しました。どんなに優れた臨床研究でも5年生存率が概ね50%以下である現実の中では、驚異的に良好な治療成績です。
これだけ優れた結果をもたらした低線量放射線療法は内外から大きな反響があり、大いに期待されましたが、たいへん残念なことに数年後には中止されてしまい、そのあと再開の目処は立っていません。中止の理由はさだかではありませんが、学内の派閥抗争や製薬会社との確執など、様々な憶測がささやかれました。
大学など中核施設に於ける低線量放射線療法は頓挫してしまいましたが、その流れはもっと中小の施設に形を変えて受け継がれています。前述の「ホルミシス臨床研究会」に所属する医師をはじめとして、何人かの開業医が自身のクリニックでラドンルームを開設し、ガン患者などを対象としたラドン療法を行なっています。すなわち「ラドン療法」という形式の低線量放射線療法と理解することができます。
これらのクリニックに併設されたラドンルームは、同研究会の認証を得たものである限り、上述のバドガシュタイン並みのラドン濃度と放射線量を維持しています。そのためガンをはじめリウマチや潰瘍性大腸炎、パーキンソン病、アルツハイマー病など難しい病気にも充分に対応できるものとなっています。
例えばガン患者の場合、他の医療施設で診断され治療を受けていた方が、医療機関からの紹介もしくはご自身の希望で来られるケースが多数を占めています。そして多くの場合、それら既存の治療と並行する形でラドン療法が行なわれます。ラドン療法が単独で行われる場合もありますが、それはどちらかというと例外的です。
大学病院を中心とする西洋医学が壁に突き当たっている現状をよそに、日本のクリニックでは或る意味で「世界最先端」のラドン療法、すなわち低放射線ホルミシス療法が行なわれているのです。次回はその具体的な症例を示します・・(続く)
蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
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このコラムの執筆専門家
- 吉野 真人
- (東京都 / 医師)
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