- 塚本 有紀
- フランス料理・製菓教室「アトリエ・イグレック」 主宰
- 大阪府
- 料理講師
対象:料理・クッキング
- 黄 惠子
- (料理講師)
お菓子の講座のために、和歌山産のバレンシアオレンジを取り寄せました。
バレンシアオレンジは世界でもっともたくさん植えられているオレンジの品種です。なんとなくスペインのバレンシアが原産かと思ってしまいがちですが、じつはインドあたりが原産。19世紀にカリフォルニアに伝わったときに、これをみたスペイン人が自国の「バレンシアに植わっているオレンジに似ている」と言ったから、バレンシアオレンジになった・・・という話しを聞いたことがあります。
国産のバレンシアオレンジはたしかにオレンジなのですが、でもどこかに日本の香りがします。土や季候がそうさせるのでしょう。酸味がはっきりしていて、さくさくした食感です。
授業中、とある生徒さんが
「先生。これ、はさみで切って収穫しています!」
と教えてくれました。オーストラリアに留学していたときに農園でアルバイトしていた方なのです。収穫ものが大好きな私はかぶりつきで話しを聞いてしまいます。
どうして?
「軸に少し高さがあるから分かります」
へえぇ。そういえば、これはご夫婦で営む小さな農園から送られてきたオレンジ。二人ではさみで軸を切りながら収穫されている様子がぱっと脳裏に浮かびます。
手首をきゅっとひねって、へたを残して折る方法もあるのだそう。軸が長く残ってしまうと怒られ(他の果実を傷つけるもとになるから)、でもヘタごと取れてしまうと商品価値がなくなるため、また怒られるのだそうです。
何事にも、人知れない奥深さがあるものです。
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