- 志田 茂
- 志田茂建築設計事務所 代表
- 東京都
- 建築家
対象:住宅設計・構造
先日、ご相談をいただいた方のところに伺いました。
その時に聞いた話し。
すぐそばにある賃貸ワンルームマンションの空きが 「 半分近くある 」
というのです。
半分 って・・・・ もう賃貸業としては成り立ちませんよね。
たぶん 20年くらい前、建築の計画はバブルの頃と思われます。
あまっていたお金のはけ口のように、投資だ、究極の資産運用だ、という感じで
とにかくワンルームマンションが作られました。
いわゆる 1K (ワンケー)。
3 i n 1(スリーインワン) と言わた バス・洗面・トイレ が一体の小さなユニットとミニキッチン が
玄関を入った通路の両側にあり、奥に6帖程度のひと部屋と小さなクローゼット ・・・
それが定番でした。
人口が減り、かつ、次々に新しい賃貸が作られていく中、古いものは見向きもされなくなり、
空き室を埋めるには家賃を下げるしかありません。
古くなればそれすら効果もなくなります。
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これだけ次々にマンションが作られるのは、相続税等の税金対策の結果です。
そうゆうマンションの賃貸の場合、地主は
「別に賃貸業をやりたいわけではない」
また
「空きがあろうがそんなに関係ない」
というケースも多いのではないかと思ってしまいます。
そうゆうものと、賃料を資金計画に組み込んだ賃貸、
つまり 「必死な賃貸」 は戦わないければいけないのですから、大変な事です。
「必死な賃貸」 は、なにかしらやっていかないと借り手がつかないのですが、
エアコンを付けるとか新しいキッチンに付け変えるだとか、やる事はそんな事ばかり。
その最初はいいかもしれないけど、「次」はもう効果がなくなります。
なんだか違うんだよなぁ と思います。
それぞれの賃貸には、何か他にはない特性を秘めているかもしれません。
そうゆものを生かしてあげればいいのに・・・・ 実に残念です。
業界の「常識」ではやっていては難しいでしょうね。。
狭い 1K (ワンケー) なら、むしろ
仕切りを無くしできるだけ有効面積が広くなるようにする
くらいの事をしなければ、興味を持ってもらえないのではないでしょうか。
・ 都心の駅そばである
・ 大学や専門学校がそばにある
そんな事でもなければ、1K (ワンケー) に未来はないような気がします。
そして、住み手の視点がない賃貸の未来も・・・・
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借り手が減った賃貸の魅力を探すお手伝いをします。
「賃貸でも自分らしい暮しをしたい」 という住み手の視点から考える賃貸作り
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