こんにちは。
ヒトミ・キュービック・デザインの宇田川です。
本日は第5回目、そして遠近法の3番目、「色彩遠近法」についてです。
まずは、下記の色の対比をご覧ください。
これは、「ヨハネス・イッテン」の色彩論に掲載されている色の対比を応用して
寒暖対比と補色対比を同時におこなった図です。
絵の中の色はそのもの単独で置かれているのではありません。
色には赤・朱色・黄のような暖色と、青・緑といった寒色があります。
図を見ると、暖色は前にせり出してくるような感じがあり、寒色は後方に張り付いて
いるような感じがお分かりになると思います。
また補色というのは、混合するとグレイや黒に近い色になる2色のことをいいます。
この補色の2色は、隣接すると互いに刺激しあって、互いに目立つという性質をもっています。
色彩遠近法とは、色がもつこれらの視覚的&心理的特質を利用し、絵に奥行きを表現する方法です。
では、パースではどのように利用すればよいのでしょうか?
ひとつは、前回の空気遠近法と重なりますが、遠くのものほど寒色に近づけるのです。
また、遠くのものには強い補色対比を避けることです。
下記のパースをご覧ください。
※絵をクリックして下さい。大きく表示されるので違いがよくわかります。
このパースは、中央の通路棟と左側建物を増築するため、右側既存棟と入れた全体の
雰囲気を確認したいとのご要望を受けて作成しました。
①のパースは遠近法を考慮せず、指定された色で壁・屋根を仕上げています。
どれもそれぞれの色を自己主張してしまい、絵のメインである増築部が目立ちません。
②は、奥の既存棟の色対比をおさえ(彩度を下げます)、目線が手前の増築部にいくように
しています。
【 色彩遠近法のコツ 】
遠くのものを描くときは、寒暖対比を利用し、補色対比は弱めましょう。
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