お騒がせ恋愛　～境界性パーソナリティ障害　その２～

「境界性パーソナリティ障害」　とは大人になってもパーソナリティが未熟であるがゆえに、感情面で不安定さが露出し、日常生活や対人関係においてトラブルを抱えてしまう障害です。

では、そもそも　「パーソナリティ」　って何？ということですが、
パーソナリティとは、ある人に特有の認知、行動、感情などの「あり方」のこと。
性格、気質、倫理観、価値観、など、　「その人」　を統合する概念です。

今回からは、具体的な例を挙げて障害の特徴をご説明します。

※ただし、このような症状の人がすべて　「境界性パーソナリティ障害」　ではありませんのでご注意ください。

【症例１：恋愛へののめりこみ方が度を越している】

彼がいなくては生きていけない。恋愛小説や恋愛ソングの概念ですが、それをそのまま地でいってしまいます。

例えば最近では、メールの返信がこない、LINEが既読にならない、といったことで、時間関係なく何度も何度も送り続けたり、電話をかけ続けたり。まさに　「相手のことを考えられず」　自分の不安感情だけで突っ走ってしまう人。

そして、相手が自分から離れていく気配を感じると、自傷行為をすることもしばしば。 
※大量服薬、リストカット、大量飲酒など。

でも、これは相手に自分の気持ちを気付いてほしいサイン。
本当に一人ひっそり死んでいく気持ちはありません。ですので　「私は今から死にます」　といったメールや電話を甘えられる人に送ったりします。

このようなタイプの方は、根底に
「他人の何気ない行動で気分が必要以上に大きく揺れる」
という特徴があります。

それゆえ、学生の場合は学校生活を送ることが困難で、保健室などの特定の場所でしかなじめなかったり、登校拒否気味であることも。

もちろん恋愛が終わることは相当なダメージです。 
食欲がなくなったり、眠れなくなったり、涙もろくなったり。
しかし、その精神状態を自分の中で処理することができず、相手や親や親友などを巻き込んで、文字通り　「大騒ぎ」　してしまう。

最初は付き合っていた周囲の人々も、そんなことが繰り返されるうちに疲弊してきてしまいます。

人の心を　「恐怖による支配」　でつなぎとめておくことはできない。
それは当の本人も理性ではわかっている部分もあるのです。
でも、　「忘れられる」　ということにとてつもない恐怖があるのです。
この尋常じゃない恐怖感が問題行動につながる。
その根本は同じところにある。
でもその枝葉は全部違う。

カウンセリングとは、それを丁寧にひろって、　「あなたはあなた一人でそこに生きていていい」　というところに一緒に行くことだと、私は思っています。

次回は、　「態度がコロコロ変わる」　と題して具体例をあげてみたいと思います。