養育費に関する家事調停・審判 - 家事事件 - 専門家プロファイル

村田 英幸
村田法律事務所 弁護士
東京都
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対象:民事家事・生活トラブル

村田 英幸
村田 英幸
(弁護士)
田中 圭吾
(行政書士)

閲覧数順 2017年11月20日更新

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養育費に関する家事調停・審判

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○養育費

 

夫婦の以下の要素を考慮して、家庭裁判所が定める。

・資産

・収入

・職業

・社会的地位

・未成年の子の監護の状況

・その他一切の事情など。

 

 家庭裁判所の現在の実務では、調停・審判ともに、権利者(婚姻費用の支払いを求める者)、義務者(支払いを求められた者)それぞれの収入を、定形的な養育費算定表に基づいて、職業(給与所得者、自営業者の区別)に応じて、算出している。例外的に特別な事情がある場合に、増額が認められる。

 

 

○管轄

 以下の家庭裁判所で、調停・審判の管轄が認められる。

 夫婦のいずれかの住所地、

子がいる場合(子が複数いる場合には、そのうちの1人の子)の住所地

合意管轄

なお、調停では申立人住所地で調停申立てができないと記述している書籍を見かけたが、誤解であろう。

○実務での運用

 調停でも審判でも、ある程度一律に上記の算定表に基づいて算定し、例外事情を認めないことが多い。特別事情として認められるのは、子が学費の高い大学等に進学したような場合である。

 子供の世話、障害等で十分に働けないという事情は、すでに収入に反映されているとして、特別事情としては取り扱っていないようである。

 また、浪費等が原因で借金返済があるという事情は、家族に対する扶養義務が一般債権に優先することを理由に、婚姻費用・養育費の減額すべき正当な理由にならないとした事例もある。

 住宅ローンについては、借家住まいの場合と均衡を取るために、考慮の対象としないとした事例もある。例えば、住宅ローンを支払っている夫について、住宅ローンを減額の考慮要素として取り扱うと、借家に住んでいる妻が家賃を支払っているのと不公平になるからである。

○離婚調停ととも申立てた場合

離婚調停とともに養育費請求の調停を申立てた場合には、両者の申立ては併合される(家事事件手続法255条4項、49条3項)。

婚姻費用の場合と異なり、養育費については、①子の養育に現実に金銭の支出が必要であり、②算定が容易であり、③配偶者が有責かどうかは養育費の算定に影響しないため、離婚について相互に納得している夫婦の場合には、離婚調停中であっても、調停委員からのすすめにより、離婚成立までの間、暫定的に、養育費について、任意に合意して支払額を定めて送金させるという運用もある。

 

もっとも、過去の婚姻費用には養育費の精算も含まれ、これを財産分与に含めて行うことができる(最高裁昭和53・11・14)。

調停成立に際しては、「調停条項以外には、夫婦間にそれ以外の債権債務がない」という条項を入れるのが通例であるが、養育費は子に対する扶養義務のため、監護親には処分権がなく、将来の養育費請求の放棄などはできないと解されている。

 

○養育費請求の調停・審判のみの場合

養育費請求だけの場合には、源泉徴収票などの基礎資料があれば、算定表どおりの額を調停委員がすすめ、調停期日が1,2回で協議がまとまらずに、調停不成立とされることが多い。

審判に移行した場合、審判申立書の写しが送付され(家事事件手続法67条1項、家事事件手続規則3条2項)、源泉徴収票などの基礎資料がすべきで家庭裁判所に提出されていれば、事実の調査がされ(家事事件手続法70条)、当事者の陳述を聴取する期日を1~2回開いただけで(家事事件手続法68条。当事者の申し出がある場合には審問期日)、直ちに審理を終結し(家事事件手続法71条)、審判日が定められ(72条)、例外事情を認められずに、算定表どおりの結論の審判になることが多い。なお、家庭裁判所に、子の意見を聴取する義務はない(家事事件手続法151条、252条、152条)。

養育費請求の審判(子の監護に関する処分の審判及びその申立てを却下する審判)は、子の父母及び子の監護者から、即時抗告はできる(家事事件手続法156条4号)。ただし、よほどの例外事情がないと、抗告審でも、審判の結論は変わらないことが通例である。

なお、審判確定前までは、養育費支払い審判の申立ての取下げはできるが、審判後の申立ての取下げには、相手方の同意が必要である(家事事件手続法82条2項)。また、2回期日に欠席すると、申立てを取下げたとみなされる(家事事件手続法83条)。

 

 

○調停前・審判前の保全処分

調停前・審判前の保全処分を申立て、家庭裁判所に養育費の支払いを命じてもらい、支払いを受けることが可能である。

 

○離婚訴訟に移行した場合

 離婚訴訟において付随処分である監護に関する処分(人事訴訟法32条2項)として、請求をしてもよい。

 また、養育費請求は、離婚訴訟と一体ではないので、別途、離婚訴訟の判決が確定する前までに、養育費の調停・審判を申立てることが可能である。

ただし、離婚請求を認容する訴訟の判決で、過去の養育費を考慮して財産分与を定めた場合、将来の養育費請求の場合と異なり、過去の養育費の精算については、二重請求である、あるいは確定判決の効力によって遮断されると解される可能性がある。

 

○面会交流との関係

 実務では、「子と面会させると約束したのに、相手方が会わせないから、養育費を支払わない」という別居親の意見がある。これは法律的には認められない。しかし、実務では、養育費を支払わない場合の理由のうちの1つである。したがって、養育費を請求する代理人弁護士の場合には、このようなクレームがおきないように努力する必要があろう。

 なお、調停調書に「毎月1回第○○曜日午後○時から午後○時まで子と面会させる」という面会条項がある場合に、具体的な給付の特定ができる場合には間接強制できるが、抽象的な条項にとどまっている場合には、間接強制できない(最高裁平成25年3月28日決定)。

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