- 村田 英幸
- 村田法律事務所 弁護士
- 東京都
- 弁護士
対象:民事家事・生活トラブル
- 榎本 純子
- (行政書士)
離婚についてだけ当事者間で合意ができた場合、
① 離婚のみについて家事調停を成立させる、この場合、調停成立によって離婚そのものは成立している。なお、離婚判決確定の場合も同様である。当事者は、離婚したことの調停調書・確定判決及び確定証明書を10日以内に届け出なければならず(戸籍法77条1項、63条)、違反すると5万円以下の過料に処せられる(戸籍法135条)。
② 離婚について、夫婦の両当事者が同席して調停を成立させる場合でも、あらかじめ、相手方と顔を合わせたくないと希望を家庭裁判所に伝えておけば、調停期日は交互に家庭裁判所の調停室に当事者が交互に入室し(ただし、廊下・エレベーターなどですれ違う危険はある。)、調停成立の最後の数分間だけ同席させるという運用を東京家庭裁判所などではしていたし、新法の下でも、そのような運用になると思われる。ただし、調停が不成立で離婚訴訟にまで発展した場合は、訴訟手続なので、例えば本人尋問期日を想定すれば明らかなように、両当事者が全く顔を合わせないというのは無理である。
③ 協議離婚届を作成して届出提出する(未成年の子についての親権者は離婚届の必要的記載事項)、ただし、この場合、一方当事者が届け出を怠ると、離婚が成立せず、婚姻が継続している状態になる(例えば、重婚や再婚禁止期間の違反になりかねない。)というリスクがある。実務では、離婚を希望する当事者の代理人弁護士が記入済みの離婚届を預かり、市区町村へ届け出て、相手方が戸籍を取って届出済みの事実を確認するという方法もあるが、記載漏れ・誤記等があった場合の訂正・対処などを考えると、やはりリスクはある。
の方法を取った上で、例えば、婚姻費用分担、財産分与、慰謝料、年金分割、養育費などについて、別途、上記の家事調停・審判などを利用することはできる。
もっとも、実務では、離婚そのものについてだけ合意が成立するケースは、少なくとも弁護士の取り扱う事案では、夫婦間の対立が深刻なケースが多いし、金銭的な条件とバーターで離婚成立の有無が決まることも多いので、例外的であろう。
したがって、離婚に合わせて、上記の各項目も調停を成立させるか、離婚判決と付随処分を取得することになる。
なお、金銭的な条件とバーターで離婚成立の有無が決まることも多いというのは、若干語弊があるが、極端な例として、
ア 離婚を断固拒否している一方当事者を相手方にしている事案では、財産分与などはいらないから、一刻も早く離婚したいというケース、
イ 有責配偶者をいわば懲らしめる意味で、離婚を拒否し、財産分与・慰謝料などの金銭交渉を有利にすすめようとしているのではないかと疑われるケース、
ウ 有責配偶者からの離婚調停申立てで、他の好きな人と結婚したいため、相場よりも高額な慰謝料などを支払ってでも離婚したいケース、
なども散見される。
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