現在の日本人にとって、起業というと飲食業やサービス業が中心で、製造業による起業はすっかり狭き門になりました。過去10年程度を振り返っても、製造業で起業する人は、大半が大手メーカーの孫請けの部品作りなどです。扇風機や照明器具の製造で起業した人はいますが、例外的でその分マスコミにはよく取り上げられます。
1960、70年代の起業と言いますと、主流は製造業や建設・土木での起業でした。起業家が新技術や製品を開発し、それを売り出すことで中堅・大手企業にまで成長することができた時代です。今後も、製造業での起業は難しいかと言いますと、それを覆すような製品が5月には販売されることになりました。
過去にここでも取り上げた3Dプリンターですが、今度汎用製品が日本で販売されます。製造しているのは米国の3Dシステムズで、既に米国では1300ドルで販売が始まっています。3Dプリンターは、樹脂を原料に部品やフィギュアを作ることのできるマザーマシンです。金型作りには最適といわれてきました。
5月に販売される予定の小型機 CUBE(キューブ)では、縦横14センチの立体物を作ることが可能です。日本においては15万円程度の価格で販売されると言われています。製造物の設計データは、パソコンで作成して取り込む仕組みで、最も需要が期待されるのは、企業の設計者たちが自宅で手軽に試作することです。
従来なら、日本企業がこのような製品を製造してきました。現在、日本でもキーエンスなどが作っていますが、3Dシステムズやライバルのストラタシス社の2強には、まったく敵わなくなっています。モノづくり日本も、足元では中国、韓国、台湾に続く、米国、イスラエルには追い上げられているのが現実です。
起業を考える人にとっては、3DシステムズのCUBEを活用して、何を造れるかが課題です。フィギュアやおもちゃなら簡単に造れますが、ビジネスとして活用するには、一捻り、二捻りが欲しいところです。これまでのモノづくりとは発想がまったく違ったマシンですから、人知れず活用法を考えてみてください。
【一言】
新たな製造機器の登場は、新たなビジネスの誕生を意味しています。これまで女性用アクセサリーの製造は、鋳造で型を作って製造していました。多分、3Dプリンターは、その世界でも威力を発揮しそうです。子ども用ガチャガチャのアイテムつくりにも、利用されるのではないでしょうか。ワクワクする機器ですが、若い人や子どもの発想は、もっと面白いものを創造すると思います。
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