相続人の廃除事由と廃除基準 - 民事家事・生活トラブル全般 - 専門家プロファイル

村田 英幸
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閲覧数順 2017年08月19日更新

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相続人の廃除事由と廃除基準

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【コラム】 廃除事由と廃除基準

 廃除事由には、被相続人に対する虐待、被相続人に対する重大な侮辱、推定相続人の著しい非行の三種類が類型化されています(民法892条参照)。

 廃除基準についてですが、廃除制度の趣旨が「相続的協同関係を破壊する可能性に対する民事的制裁」という通説(中川=泉『相続法第4版』91頁)からすれば、相続的協同関係が破壊されたと評価できるか否かにより判断されると考えられます。裁判例も概ね、この立場に立っていると思われます。

 この立場に立てば、被相続人が、一時の激情にかられて廃除を申し立てた場合や、被相続人にも原因がある場合や相続的協同関係が修復可能である場合には廃除は認められないことになります(名古屋高決昭和46・5・25家裁月報24巻3号68頁)。

 平成19年司法統計年報によりますと、「推定相続人の廃除及びその取消し」の受理件数は288件ですが、そのうち、認容件数は23件にすぎません。

 裁判所が廃除を簡単に認めない理由は、被相続人が、廃除制度を利用して、推定相続人を不当に支配するといった事態を回避しようとしているためであると思われます。

 以下、比較的近時の審判・決定例から廃除の否定例と肯定例を紹介します。

(ⅰ)被相続人に対する虐待

 被相続人である父親(以下「A」といいます)とAの長男の妻との不和を契機に、長男の妻が、被相続人Aの妻を看病することを手伝わないようになったことから家庭内に不和が生じ、長男がその不和を解消しようとしなかったため、被相続人Aが家族内で孤立感を抱き、家族から無視され精神的虐待を受けたと主張した事案において、長男の妻および長男の行為はよくないとしながらも、被相続人Aには、その後長期にわたり、長男やその妻に対し強硬に謝罪を要求するといった行き過ぎた行為があったとして廃除が認められませんでした(名古屋高金沢支決平成2・5・16家裁月報42巻11号37頁)。

 他方、末期がんの妻(被相続人)が自宅で療養中であり、低温、雑菌のある生活環境を避けるべき状況にあるにもかかわらず、暖房費がもったいない等として、その夫が自らはビニールシート内で暖をとり、被相続人に対してはビニールシートの外で療養させていた事案で、夫は肉体的虐待を加えたことの他「はらわたが腐っているので、黙っていてもまもなく死ぬので慰謝料等支払う心配はない。ビター文出す値のない女である。」との暴言を吐く等精神的虐待を加えたとして廃除が認められています(釧路家北見支審平成17・1・26家裁月報58巻1号105頁)。

(ⅱ)被相続人に対する重大な侮辱

 被相続人夫婦と同居していた長男夫婦との間で口論が絶えなかった事案で、被相続人との不和は嫁姑関係の不和に起因し、長男と被相続人がそれぞれの妻の肩をもったことで、長男夫婦と被相続人夫婦の紛争に拡大していったものであり、口論は日常的なものであって、被相続人に対し、侮辱と受け取られるような言動をとったとしても、それが口論の末のもので、感情的な対立のある日常生活の上で起こっていることから廃除が認められませんでした(東京高決平成8・9・2家裁月報49巻2号152頁)。

 他方、両親(被相続人)の意思に反して、元暴力団員と婚姻した二女が、披露宴の招待状に両親の名を印刷して、知人に知れ渡るように公表した事案で、家族的協同関係が全く破壊されるに至り、今後もその修復が困難な状況になっているとして廃除が認められています(東京高決平成4・12・11判時1448号130頁)。

(ⅲ)推定相続人の著しい非行

 被相続人の七男が被相続人の孫らを債務者として、サラ金から合計280万円の借金をさせて、約束も守らず弁済を怠り迷惑、不利益を与えた事案で、七男はその責任を負わなければならないとされましたが、廃除は認められませんでした(福島家審平成元・12・25家裁月報42巻9号36頁)。

他方、父親(被相続人)の長男が父親の多額の財産をギャンブルにつぎ込んで減少させた事案で、虚偽の金銭消費貸借契約や虚偽の賃貸借契約を作出し、被相続人を困惑させよう、あるいは被相続人の財産を減少させようと意図して、民事紛争を惹き起こしたものであり、訴訟になった後も、被相続人と敵対する不正な証言を行っていることから廃除が認められています(大阪高決平成15・3・27家裁月報55巻11号116頁)。

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