- 松岡 在丸
- 松岡在丸とハウジング・ワールド
- 東京都
- 建築プロデューサー
対象:住宅設計・構造
マンション住まいだったご家族が、夢を抱いてマイホームを購入し、それまで簡単だと思っていた家族のコミュニケーションが難しくなっていくことを経験します。
子供の年齢や成長のせいと決めつけることも多いようですが、それでも二階建ての一軒家に引っ越して大きく変わったことがあるという点に気付くか否かで、対処法は大きく変わってくるでしょう。
二階建て一軒家には、「階段」があります。マンション住まいには無い仕様ですね。この「階段」を上手に作らないと、一階と二階を隔てる「壁」「距離」になり、親と子を隔てる精神的な「壁」「距離」のようになってしまうのです。
玄関から子供部屋に、誰にも合わずに行ける動線に置かない
階段は、リビングなど家族が集まる空間に配置しましょう。子供が帰宅後、リビングで家族と顔を合わせ、コミュニケーションを取り、それから二階に行く。この流れを作り続けなければいけません。
リビングに階段を作るということは、当然、家全体の断熱性能がしっかりしていなければなりませんね。
また、リビングに階段を配置すると、一階で気楽に過ごしながらも、ちょっと注意を払えば二階の雰囲気がなんとなく伝わります。精神的に「家族はひとつ」という効果も期待されますね。
階段は明るくする
階段が暗いと、それが「壁」のようか感覚を生み出します。階段が、リビングの延長であるかのように明るくて爽やかですと、二階から一階に降りてくるのも気分がよくなりますし、二階にいるときに一階との距離が近く感じるものです。
階段が一階の延長、という意識を持てるからです。ちなみに私の自宅の階段は、リビングの壁と同じ「ホワイト」に塗装しました。これが大成功でした。
きちんとインテリアとしても考え抜かれた階段にすると、階段で親子で腰を下ろして会話をする、なんて使い方だってできます。ただの通り道として終わらせない工夫ですね。
段差を緩やかに
一般的な二階建て住宅の階段は、13段です。しかし、私の自宅は各段の高さ幅を少し小さくし、16段にしています。これが、昇降しやすさに大きく影響します。
二階に自室を持つ家族にとっては、階段は毎日使う通路でもありますから、昇りやすい、降りやすい、というのはとても大切なことです。特に小さな子供やお年寄りにとっては、こうした仕様で大いに助かる、というのです。
ただし、通常仕様と異なるために、大工さんの手間が多くなります。これがコストにも影響するわけですが、長く住むことを考えるならば、初期投資としては小さなものです。
階段を快適にする、階段を良い位置に間取りする、ということを教えてくれる日本の建築企業はあまりありません。海外の住宅などをぜひ参考にしながら、あなたの家をより住みやすいものにしてくださいね。
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