- 高安 重一
- 有限会社アーキテクチャー・ラボ 代表取締役
- 東京都
- 建築家
タイトルが気に入って買ったものの、結構厚くて「読むのに時間がかかるのでは?もし重たい内容だったらなあ・・」との怠け心から6年もほったらかしにしていた本を読んだ。
読み始めた瞬間「さっさと読めば良かった」と後悔しながら一気にスムースに読めた。
「屠畜場イラストルポ」と帯に書いてあるように、世界の「動物が肉になるまで」のレポート。
屠殺と呼ばず屠畜と呼ぶのは、筆者の屠殺に対するゆがんだイメージを払拭したいからとのこと。
東京の芝浦、沖縄、韓国、エジプト、モンゴル、インド、イラン、アメリカの屠畜事情を見ると、もともと生活に根付いていた屠畜という行為が世界中で目に触れることが無くなり、肉にお世話になっている希薄になっていっている様子。
小学生のころに親の実家でカレーライスが出てきて「卵を産めなくなった鶏をおじいさんが絞めたんだ」と聞かされたのを今でも思い出す。
その瞬間、技術的にそんなことができるおじいさんを尊敬したし、最後まで命を無駄にしない暮らしが、会社員の家に生まれた自分との違いを羨ましいと思ったもの。
本書では具体的に血の抜き方や、毛のむしり方や皮の剥ぎ方がルポされて、結構違いがあって進歩していることもわかった。
文章は軽快で上手いし、内澤氏も同世代ということもあり全面的に共感できた。
なにより、肉も皮製品も好きな人は是非読んで良い本です。
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