- 葛西 伸一
- 株式会社メンター・クラフト 代表取締役
- 東京都
- 経営コンサルタント
対象:人材育成
子供のころから、バスで学校に通う生活が続いた。
小学校3年生の時に自分が通う小学校からずいぶん離れた場所へ引っ越しをした。
それでもバスを乗り継げばなんとか1時間くらいで通える場所だ。
母親から「どうする?転校する?それともバスで通う?」と尋ねられ、
子供のころから動いたり移動したりすることに苦も感じず、
バスに乗れる嬉しさや今の友達から離れてまた新たに友達を作る面倒さを
考えたらバスで通うことがいいと子供なりに考えて結局通うことにした。
それから中学を卒業するまでの約6年間続く、長いバス通いが始まった。
いま考えれば、そのころから、移動時間とともに生活することがあたり前に
なっていた。おとなになった今も、電車で何時間移動しても疲れない。
これは営業するにはうってつけだ。真冬だろうが真夏だろうがあまり苦にならない。
とくに真夏の営業は、猛暑を歩きくたくたくになったくらいに地下鉄に乗ると、
冷気が「ぼわーぁー」っと全身を包んでくれる、あの瞬間の快感が今でもたまらなく好きだ。
ただで入手したガンダムのプラモデルを売って、ゲーム代に
そんな私が初めてビジネスをしたのが、小学校6年生くらいの頃だった。
親戚の伯父さんが、たまたま家に遊びにきてくれたとき。
一緒にJR市川駅まえのデパートへ買い物へ行き、そこで偶然にも当時プレミアが付いていた
「ガンプラ」(ガンダムシリーズのプラモデル)が売られていた。
そして、叔父が、3つもそのガンプラを買ってくれたのだ。
しかし・・・実は、ガンダムシリーズの中でも、あまり人気のないモデルであったため、
買ってはもらったものの自分で組み立てる気にはならなかった。
私は、当時ゲームセンターのゲームにはまっていた。
そこで、その資金を得るために、ある作戦を思いついた。
「おなじような年齢の子ならば、このプラモデル高く買ってくれるかもしれない」と。
後日、再びJR市川駅前に行き、3つのプラモデルを大きな紙袋にいれて、
デパートの前で売った。
同じくらいの子供が通ると、紙袋の中をちらっとみせて、「ガンプラありますよー」と。
通る子供子供が私の紙袋に興味を示し、あっと言うまに、3つのプラモデル全て売りつくした。
当時はガンプラといえばプレミアがついた商品で当然定価よりも高く売れたのだ。
おそらく3つで、3000円以上は手にしたと思う。
その資金を元に、ゲームセンターへ行き、ゲームに熱中した覚えがある。
30年近く前の話だが、そのときに無意識にも「売ることの偉大さ」を感じたのを
昨日のことのようにはっきりと覚えている。
「ジャパネットたかた」で商売のお勉強
こうして、私は仕入て売って粗利を稼ぐ仕組みを体験したのだ。
いかに原価を抑え、いかに顧客がほしがるプレミア感を発揮し高値で売れるか?
このケースは、おじさんが買ってくれたから、原価0。
定価 800円 売価 1000円 粗利 1000円。3つ売ったから、粗利3000円。
しかし、現代の企業でも、この基本原則を忘れている企業が数多く存在する。
本来は、この基本原則を常に頭に入れつつ、同時に新たな挑戦を考えるという
バランス感覚が企業経営者や管理職にとっては非常に重要なんだと思う。
私は、よく「ジャパネットたかた」で商売のお勉強をする。
とにかく、製品の顧客価値を考え、値段ではなく、その製品のプレミアを訴求する。
たとえば、デジタルカメラなら、カメラの機能ではなく、'おじいちゃんでも、'新しいデジカメで
簡単でキレイに孫の写真が撮れて、プリントもらくらく''、そしてその先にはおじいちゃんの
微笑みが待っているのだ。
その価値を十分に訴求しているとき、視聴者は必ず「この商品、いくらくらいだろう?
498,00円くらいかなー?」と想像する。
なぜ視聴者は、49,800円かと思うと、そのくらいの機能と利便性があるというのを事前に
暗黙訴求しているのだ。 そこを、あえて29,800円で売れる商品を探し、
「お値段なんと29,800円〜〜!!!」となると、視聴者の中でサプライズが起きる。
そして、サプライズを起こした瞬間に、「さらに、金利手数料はジャパネット負担!」と
トドメをさすから売れないわけがない。
本当に商売、いや、高田社長はマーケティングの天才だと思う。
そう、これが商売の醍醐味だ。無論、それでお客さんもよろこんでくれる。
商売でWIN-WINの関係というが、私は、はっぴーはっぴーの関係と言い換えたいくらいだ。