- 山本 憲宏
- 山本公認会計士事務所 所長
- 滋賀県
- 公認会計士
対象:会計・経理
今日は「中小会計指針」の各論の解説の続きです。
今回は、「貸倒損失・貸倒引当金」の続きです。
今回は、主に貸倒損失について解説していきます。
まずは貸倒損失に関して「中小会計指針」の本文では次のように記載しています。
・受取手形や売掛金等の債権が法的に消滅した場合のほか、回収不能な債権がある場合は、その金額を貸倒損失として計上しなければならない。
ここで、債権が「法的に消滅した場合」とは、会社更生法による更生計画又は民事再生法による再生計画の認可が決定されたことにより債権の一部が切り捨てられることとなった場合等が該当します。
また、「回収不能な債権がある場合」とは、債務者の財政状態及び支払能力から見て債権の全額が回収できないことが明らかである場合をいいます。
「回収不能な債権がある場合」について、法人税法基本通達によると、法人の有する金銭債権につき、その債務者の資産状況、支払能力等からみてその全額が回収できないことが明らかになった場合には、その明らかになった事業年度において貸倒れとして損金経理をすることができます。この場合において、当該金銭債権について担保物があるときは、その担保物を処分した後でなければ貸倒れとして損金経理をすることはできないものとなっています。
会計上は、担保の処分後の有無ではなく、あくまで債務者の財政状態及び支払能力から見て債権の全額が回収できないことが明らかである場合であることから、この点、税務上と会計上で計上の時期の差異が生じることになります。
法人税法においては、上記の他に一定期間取引停止後弁済がない場合等についても貸倒損失の計上を認めています。
すなわち、債務者について次に掲げる事実が発生した場合には、その債務者に対して有する売掛債権について法人が当該売掛債権の額から備忘価額を控除した残額を貸倒れとして損金経理をしたときは、これを認めています。
(1)債務者との取引を停止した時(最後の弁済期又は最後の弁済の時が当該停止をした時以後である場合には、これらのうち最も遅い時)以後1年以上経過した場合(当該売掛債権について担保物のある場合を除く。)
(2)法人が同一地域の債務者について有する当該売掛債権の総額がその取立てのために要する旅費その他の費用に満たない場合において、当該債務者に対し支払を督促したにもかかわらず弁済がないとき
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