敷地は南西の角地で、道路面より少し高くなっています。南の間口が広いため採光の取りやすい環境にあります。
でも、南の前面道路は一方通行の緩い坂道で、道路の広さのわりに人通りや交通量が多く、住宅の開口部を素直に南に開いたのでは外行く人から家の中が丸見えになってしまいます。
また、二人の希望は天井の高い空間です。
奥さんは展覧会に絵を出展するくらい熱の入れよう。
旦那さん曰く「趣味の域を越えている!」そして、やはり天井が高いアトリエが欲しいと・・・。
そこで、全てのスペースを天井の高いスペースにすると住宅全体が、街並の中でスケールアウトしてしまう上に住宅内部でもメリハリのないルーズな空間の住宅になってしまう恐れがあります。
我々は、天井の高いスペースとして特に要求されているアトリエとリビングスペースを一つの箱のようにまとめ、他のスペースを比較的天井高をおさえた空間の集合として二つ目の箱を用意しました。
用意した2つの箱を少しだけ距離をあけて建て、そこにスキマをつくりました。
そして、そのスキマからそれぞれのスペースに光や風を届けるようにしています。
2つの箱は、スキマに向かって開放しているので外からプライバシーを守ることが出来ます。
2つの箱のスキマには強い用途はなく、ルーズに二つを繋げ、二つの箱の住環境を整えます。
スキマに向かって閉じたり、開いたり、季節や時間帯で使い分けます。
スキマでは、食事をしたりひなたぼっこしたり、書斎に変わるかもしれません。
なんだかよく分らないスキマの空間がこの住宅を二人のためのプライバシーの守られた確かな都市型住宅へと導きます。
このコラムの執筆専門家
- 納谷 学
- (神奈川県 / 建築家)
- 納谷建築設計事務所 主宰
家は住む人のもの。芸術でも、敷居の高いものでもありません
日本の街並み、住環境を豊かな空間に変えたい。建築が出しゃばることなく住む人のための住宅を提案したい。皆さんの家への願いを最短かつ最適に適えたい。だから僕らに遠慮なく何でも話してください。住宅はあなたのものなのですから。※僕が納谷兄弟の兄です
044-411-7934
「初台の住宅」のコラム
BS朝日で再放送!(2007/02/14 00:02)
明日です!(2007/02/03 00:02)
モザイクにごまかされるな!(2007/01/26 00:01)
高い天井、安定した光。(2007/01/04 00:01)
撮影終了!(2006/12/04 00:12)