バブル世代とも、ゆとり世代とも違うという「さとり世代」という言葉があるそうです。
私は最近知ったのですが、そもそもはもう数年前にネットから出てきた造語だそうで、今の若者世代の「車は乗らない」「ブランド服はいらない」「スポーツしない」「酒は飲まない」「旅行は行かない」「恋愛は淡泊」などの性向から、「結果をさとり、高望みしない世代」ということの表現だそうです。
社会が先行き不透明であるため、「結果をさとらざるを得なかった世代」、また「現実的な将来を見通す賢い集団」「無駄なことをしない合理的な世代」でもあるということでした。
私は何でもひとくくりにしてしまう世代論というのはあまり好きではありませんが、それでも確かに世代ごとの大まかな特徴はあると思うので、こういう側面も意識する必要はあると思っています。
私自身も「無駄なことはしたくないし、合理的に考えたい」というところが結構あるので、似た考え方といえばそうかもしれませんが、実際にはいろいろなことに遭遇する中では「無駄なのか無駄じゃないのかわからない」ということもたくさんありました。そんな事柄に対しては、たぶんそこそこの比率で「とりあえずやってみる」という行動をしています。
その結果として良かったことも悪かったこともありますが、少なくとも初めに思っていたままということはほとんどありませんでした。いろんな経験をお持ちの多くの方がそうだと思います。「さとっていた通り」にはならなかったということです。
人間は、「無駄なことをしない」という心理が強いと、どうしても「行動しない」という方向に流れがちです。この「さとり世代」という表現が、合理的、現実的、寛容、賢く見通す、という意味であれば良いですが、「無駄なことをしない」ということばかりでは、「行動しない」という方向にどんどん加速がついてしまう危険があるように思います。
きっと個人差はあるのでしょうが、若者たちに行動的になってもらうためには「とりあえずやってみろ」だけではダメで、「やってみるとこんな良いことがあるよ」ということを、具体的に示すように工夫をしていく必要があるように思います。
「やってみないとわからないこともある」ということを伝えて、そういう経験を積んでもらっていかないと、行動を躊躇する若者ばかりになってしまうかもしれません。
そうならないために、私たちのような年長者がサポートすることも必要なのだろうと思います。
このコラムの執筆専門家
- 小笠原 隆夫
- (東京都 / 経営コンサルタント)
- ユニティ・サポート 代表
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