不動産業者も見落とす、物件購入の落とし穴‐【31:位置指定道路の調査とリスクヘッジ 実践編③】
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前回では、地番境と道路ラインが接していなかった
未接道(建築不可)の説明をしました。
しかし、中途半端な資料の取得、その少ない資料の中での確認では、
正しい判断ができていないことも良くあります。
今回は、この物件が本当に未接道なのか、追加調査した実例に基づいて説明します。
まず、位置指定道路図では787-9は完全な未接道なので、787-9が建築基準法の
道路と接する為には、前面の筆である787-1や、南側の787-13から、
本地が道路部分に接するように土地を分けてもらうしかありません。
そこで、確認が必要になるのが、現在の公図には無い地番(787-84、787-85)が、
過去に787-9に合筆されていることです。
※前々回のコラム画像参照。
http://profile.ne.jp/w/c-105459/
この、787-84、787-85は元々どこから生まれた筆なのかが重要です。
例えば、道路部分を持っている前面の筆(787-1)から分筆されてできた筆なら、
道路に接するように測量し、分筆し、本地の787-9に吸収(合筆)した可能性があり、
道路とは関係ない筆から分かれてできた土地ならば、いくら合筆して広くなっても、
未接道であることに変わりないからです。
そこで、787-9(本地)が過去に合筆した787-84と787-85の謄本を取ります。
現在は公図にも無い地番の謄本なので、「閉鎖謄本」を取得することになります。
通常は、売買対象地の現在の謄本しか取得も買主への交付もしませんから、
未接道の可能性とその確認方法を理解していないと、判断材料として閉鎖謄本
などはまず出てきません。
その閉鎖を確認してみると、787-85は787-1(前面の筆)、
787-84は787-13(南側の筆)から分筆されています。
つまり、閉鎖された地番の筆は、建築基準法の道路が指定されている
787-1や787-13といった筆から分かれたものなので、787-1(本地)は
建築基準法の道路に接道するよう分筆・合筆された可能性がある
ということです。
但し、787-1も、787-13も、建築基準法の道路部分を含んではいますが、
そうでない部分もあります。
いったいどの部分を分割し、787-1(本地)と合筆したのかを確認しなければ、
本当に本地が接道した状態になったのかは不明です。
謄本だけでは平米数は分かっても、どの部分を分筆し、どの部分を本地に
取り入れたのか判断できません。
そこで、今度は閉鎖された787-84、787-85の測量図を取得し確認します。
閉鎖された測量図の画像を見て下さい。
もともとの地番787-9(本地)と、建築基準法の道路ラインとの間にあった、
隙間になっていたらしき部分を分筆しています。
この未接道の原因となっていた隙間の土地を分筆して譲ってもらい、
本地と合筆したことで、787-9は接道したことになり、一見未接道・建築不可に
思えた土地ですが、接道要件を満たした土地になっていると考えられます。
このように問題が無ければ、どのような説明でもトラブルに発生することは
ありませんが、突き詰めて問題の有無を確認した物件と、本当に問題はない
のか不明のままの物件とは安心感、安全度が違います。
しかし、この接道要件にはもう一詰めの確認が必要です。
次回は、もう一詰めの確認事項、今回の物件がどういった物件だったのかのまとめ、
今でも残るリスク、そのリスクヘッジ法を紹介します。
■不確定な契約条件の注意点-16:位置指定道路の調査とリスクヘッジ 実践編①
http://profile.ne.jp/w/c-105248/
■不確定な契約条件の注意点-17:位置指定道路の調査とリスクヘッジ 実践編②
http://profile.ne.jp/w/c-105459/
■不確定な契約条件の注意点-18:位置指定道路の調査とリスクヘッジ 実践編③
http://profile.ne.jp/w/c-105572/
■不確定な契約条件の注意点-19:位置指定道路の調査とリスクヘッジ 実践編④
http://profile.ne.jp/w/c-105862/
■道路調査の注意点【建築基準法の道路とは①】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-80720/
■道路調査の注意点【建築基準法の道路とは②】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-80721/
■位置指定道路の注意点①【位置指定道路とは】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-80976/
■位置指定道路の注意点②【私道であることについて】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-81004/
■位置指定道路の注意点③【未接道・建築不可:突き当たりの敷地について】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-84148/
■位置指定道路の注意点④【未接道・建築不可:指定された道路位置のズレについて】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-84803/
■位置指定道路の注意点⑤【未接道・建築不可:測量士の間違い】
http://profile.allabout.co.jp/w/c-84815/
■位置指定道路の注意点⑥【建築線による想定外とは】
このコラムの執筆専門家
- 藤森 哲也
- (不動産コンサルタント)
- 株式会社アドキャスト 代表取締役
将来必要なお金を把握せずに、家を買うのって怖くないですか?
売ってしまえば終わり・・・になりがちな不動産業界の現状に疑問を抱き、不動産購入には欠かせないお金の勉強をスタート。FP資格を取得。住宅購入に向けての資金計画、購入後の人生設計までトータルにサポートする「一生涯のパートナー」を目指しています。
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