- 大澤 眞知子
- Super World Club 代表
- カナダ留学・クリティカルシンキング専門家
対象:子供の教育・受験
1月16日のコラムでご紹介したSocial Studies Project.
日本の小・中学、高校生たちに、「自分で問題をみつけ、その問題を分析し、解決方法を探る」Projectです。
毎週一度通ってくる生徒たちには、今週でProject3週目。 そろそろ日本の教育の悪影響が明確に浮き彫りになって来ました。
どんどん具体的に問題をみつけているGroup. 例えば。
動物の種が絶滅しているのが問題。 特にあるグループはトラの絶滅に焦点を当てました。
「なぜそれが問題?」「獰猛な動物がいなくなったら安全になるのでは?」と、Devil’s Advocate. 反論をいどんでもっと考えてもらいます。
一生懸命調べて、考えたグループはこんな一連の問題を導き出しました。
トラの絶滅→トラがえさとしていた草食動物(しか、ぞう、水牛など)の数が増える→草・木が減る→植物による光合成のレベルが落ち、大気中に二酸化炭素が増える→二酸化炭素の持つ温室効果により、地球の温度が上がる→地球温暖化が進み、また他の動物、植物の絶滅につながる
少々飛躍もありますが、論理的に筋が通っています。 このグループは昨日から英語での説明を書き始めました。 来週は、原因を追及します。
論理的、具体的に問題さえみつければあとは簡単です。
困っているのはこんなグループです。
自分が良く知らない問題を、なんとなくネットで見つけて来て、または学校で曖昧な説明を聞いてことのある問題を、抽象的な言葉でつなごうとして3週間悪戦苦闘しています。
例えば:ゴミ問題を扱おうとしたグループ。
「ゴミの増加により・・・」と始めようとして、「ちょっと待ってね、もっと具体的にしよう。」で、まずつまります。
Take 2: 「家庭ゴミの増加により、クリーンセンターで燃やす煙が・・・」「ちょっと待ってね、クリーンセンターって何? それはこの地域のゴミ処理場の名前でしょ? 誰にでもわかる言い方しないとね。」
Take 3: 「家庭ゴミの増加により、地域のゴミ処理場で燃やす煙が人間の体に悪い影響を与える。。。。」「あのね、テーマがずれて来たよ。 ゴミ処理場でゴミを燃やす時の煙は今も出てるね。 その煙も有害なはず。 もちろんゴミが増えると燃やす量も増えるけど、どうやら本来のテーマはゴミ処理場から出る煙の害みたいよ。 ゴミの増加はその追加要因で、メインテーマにするとトピックがそれてしまうね。」
Take 4: 「家庭ゴミなどの処理のため、地域のゴミ処理場から出る煙が人間の身体に・・・・」
「はい、そこまで。 煙の何が問題で、何が含まれていて、それが人間の体に具体的にどのような悪影響があるかを調べた?それがないとここから進まないから、まずリサーチ。」
具体的、具体的、具体的。 これが英語を使う世界標準の思考法だと思い知る一瞬です。
一応ダイオキシンというヒントは出しておきましたが、来週までに調べることが出来るでしょうか。 リサーチ方法そのものも、かなり稚拙だと感じます。 例えば、「ゴミ処理場」と検索して出て来たものから必要な情報を選ぶことが非常に難しいようです。 また、一回検索して出て来なかったら、色々異なった表現をインプットしてみることも余りしないようです。 来年のSocial Studies Project はリサーチ方法をやってみる必要もあるなとつくづく感じます。
さて、来週は4週目。 果たしていくつのグループがプレゼンまで行きつくでしょうか。
日本の学校教育の悪影響を長年受けて来て、しかも地元の「良い高校」に通う高校生たちが一番苦労しているProject です。
日本の教育が犯して来た取り返しのつかない失敗を目の当たりにしています。
このコラムの執筆専門家
- 大澤 眞知子
- (カナダ留学・クリティカルシンキング専門家)
- Super World Club 代表
カナダにいらっしゃい!
カナダ 在住。パンデミック後のNew Normal 留学をサポート。変わってしまった留学への強力な準備として UX English主催。[Essay Basics] [Critical Thinking] など。カナダから日本に向けての本格的オンライン留学準備レッスン・カナダクラブ運営。
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