
- 羽柴 駿
- 番町法律事務所
- 東京都
- 弁護士
対象:刑事事件・犯罪
- 羽柴 駿
- (弁護士)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
なによりも被告人の立場はどうなるでしょう。もしあなたが、身に覚えの無い罪で逮捕状を出されたとしましょう。必死になって無罪を主張しても、家族も含めて誰も信じてくれない時は、TVドラマ「逃亡者」よろしく逃げるしかありません。長い逃亡生活の末に公訴時効によって救われたあなたは、ようやく安心して生活することが出来るようになります。ところが、数年後にあなたは逮捕されます。容疑は、あの身に覚えのない事件です。公訴時効の完成でもう逮捕されることはないと安心していたあなたに検察官が言います−「法が改正されて公訴時効期間が延びたから、未だ時効完成前だ。」
このような場合は、確かに実体法を改正して遡及処罰する例とは異なります。犯罪実行当時の刑法は改正されてはいないからです。しかし、一旦は処罰されないことが確定した被疑者・被告人が事後における法改正によって処罰されることとなるという意味では、実体法の遡及処罰の場合とほとんど変わらないといえるでしょう。
こんなふうに考えてくると、手続法の改正だからというだけで、今回のカリフォルニア州刑法の改正(および、改正後の州刑法を適用しての三浦氏の逮捕)に何の問題もないと言い切ることはいささか乱暴に過ぎるといわねばなりません。
(次回に続く)