クラシックのBGMが流れる中、明るい日差しが入る気持ちの良いキッチンで、レッスンスタート。実習の前に、今回使う食材とレシピの説明があります。その内容はとてもシンプル。ただし「鶏肉は抗生物質が不使用のものを」「お醤油は丸大豆がいい」…等々、食材の選び方からお薦めの調味料まで、高窪先生ならではのポイントがギュッと詰まっています。家庭料理のコツは、この食材選びから始まっている？

「材料は、自分が食べたいと思えるものしか使いません」という高窪先生は、アトピーに悩まされたご自身の経験から、身体に良い素材のみを使うことを決意したそう。出汁に使う削り鰹は鰹節から削ってとるなど、そのこだわりは徹底しています。厳選食材で料理の味がどれだけ変わるのか、期待が高まります。

今日作るのは「レンコンのサラダ」「レンコンのきんぴら」「レンコンのハンバーグ」の3品。なぜ、レンコンばかり？「生徒さんたちからのご要望でできたレッスンなんです。“食材を使い切れずに余らせてしまうので、アレンジを知りたい”ということで」。そんな、生徒さんからのお話のひとつひとつを、大事にするのが高窪先生らしいところ。

まずは、レシピに合わせてレンコンを切ります。包丁が苦手な初心者には、固いレンコンは難易度が高い？「大丈夫！ネコの手にして…という段階から教えます」の先生の言葉にひと安心。「大きさを揃えて切れば、火がムラなく通るから出来上がりも早いのよ」など、手早さの秘訣も教えてもらいました。一人ひとりにきめ細かいアドバイスをもらえるのは、少人数レッスンならではです。

高窪先生は生徒さんたちにポイントを教えつつ、ご自分の料理も進めていきます。その手際の良さにはびっくり。あっという間に3品が完成しました。最後に、出来上がった料理を自分たちで盛り付けていきます(※右の写真は、生徒さんの力作です)。今日使う食器は、リチャードジノリのベッキオホワイトシリーズ。「良い食器を普段使いにしています。割れても買い足せるよう、定番のものを揃えています」と高窪先生。

家庭料理こそ、盛り付けも美しく仕上げるのが高窪先生のスタイル。「ただ盛るのではなく、少し“お化粧”してあげるのが大切！例えば、料理は中高（なかだか）にして、お皿には余白を作ると、キレイに見えますよ」。置き方にちょっと気を遣うだけで、同じお料理が格段に美味しそうに見えてくるから不思議。これは誰でもすぐに取り入れられそうなテクニックです。

料理がすべて完成したら、テーブルにセッティング。お鍋で炊いたご飯と手作りの昆布佃煮も添えて、お待ちかねの試食タイムです。作った料理を一口食べると…「美味しい！」「味がいつもと全然違う！」と生徒さんたちから歓声が上がりました。あまりの美味しさに、おかわりする人も。どれもレンコンという同じ素材を使った料理ですが、調理法も味付けも違うので、飽きずにいただけます。食べ進めながら、表情は自然と笑顔に。試食というには十分すぎるほどの量で、気持ちもおなかもいっぱいになりました。

美味しさの秘密を改めて高窪先生にお聞きすると、「食材と調味料をきちんと選ぶこと。コツを押さえて丁寧に作ること。これに尽きます」とのこと。シンプルな材料と簡潔な手順にも関わらず、味にここまで違いが出るとは…素材の持つ力に、生徒さんも驚嘆。大満足のレッスンとなりました。(取材・文/三浦亜有子)