相続税と江戸っ子の関係

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公開日時
2013/09/19 15:17

先週の土曜日は相続対策のセミナーを開催しました。私も土地評価などでお話しをさせて頂きましたが、一受講者として聞いた鳥居先生のお話しがとても興味深かったです。
 
相続税の基礎控除が引き下げられることにより、納税義務者が増えるということは知っていたのですが、それには「大きな地域的な格差がある」とのことでした。
 
つまり全国平均では死亡者に対し相続税を納税した人の割合(課税割合とします)は4.1%ですが今回の改正で1.5倍程度の6%になるといわれています。(国税庁平成23年調査)6%っていうとまだまだ低いカンジですが、これはあくまでも全国平均であって、地域別にみた場合、地方は1%台に対し、東京はすでに8%強で、それが倍増することが予想されるようです。(資料参照)
 
実は愛知県も約8%程度と全国有数の納税エリアであって仮に倍増すると16%と「6人に一人」という事態になりそうであります。
 
さらには、これも愛知の平均なので、もし詳細なデータが入手できて分析してみたら名古屋の有数な高級住宅地で不動産をお持ちの方々は、納税額の多寡はあれ「ほとんど全員」ということは十分にありえます。
 
相続税は国税なので国内一律というのは分かりますが、これほど地域差が有る場合に一律な基準は果たして公平性があるのかという疑問があります。
 
新聞のコメントにもありましたが相続税に対して”こうすればトクする”みたいな指南本はいっぱい出ていますが、制度のあり方的なことを議論するものはあまり見当たらないようであります。
 
しかし代々ご商売などをして、職も住も一緒の方がその事業を継続する場合には新しい負担調整の制度を設けるなど、従来からの都心居住者の保護も考えないと、なんというか「江戸っ子」なんてのはますますいなくなり、しまいには完全に死語になってしまいそうです。
 
税の「改正=正しく改める」が脈々と作ってきた地域コミュニティを壊すことがないよう、いろいろな対策も考えて頂きたいと思います。

2013.9.19 タイの目より http://www.valuation.co.jp/column/data/000193.php

このコラムの執筆専門家

田井 能久(不動産鑑定士)

株式会社タイ・バリュエーション・サービシーズ 代表取締役

"ボーダレス”な不動産鑑定士です

「気軽に相談できる不動産鑑定士」として、みなさまのお役に立ちたいと考えています。多様な業務経験を生かして、専門である不動産鑑定業を大切にしつつも、ご依頼者のニーズに対応できるよう、地域や業域にとらわれないサービスの展開を目指しています。

田井 能久
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