親と別居する親族が居住する宅地の小規模宅地等評価減の特例

テーマ
  1. 遺産相続

お忙しいところ申し訳ありません。小規模宅地等評価減の特例についてひとつ教えてください。

父親が被相続人、相続人は、長男の私と長女である私の妹の二人です。
父親(被相続人)は、居住する家とは別に、マンションを所有しています。

父親は、私の妹と同居しています。
一方、マンションには私が居住しています。

父親が居住する家は、私の妹が相続することで、小規模宅地等評価減の特例が適用されると考えます。
一方、私が居住するマンションについてはいかがでしょう。私が相続したとしても、小規模宅地等評価減の特例を適用することは難しいのでしょうか。相続税を支払うため、退去も検討しなければなりません。

母親が認知症でまったく判断できない(要介護5)ため、今後に備えて父親が、財産を子供二人に引き継がせる公正証書遺言を作成する準備をすすめています。

小規模宅地の特例の適用は、被相続人の居宅1カ所だけです。

(5.0) | 2016/07/24 16:36

千葉県の鬼太郎さん はじめまして
税理士の柴田博壽と申します。
ご質問にお答えします。
千葉県の鬼太郎さん、相続対策を研究されているようです。しかし、ポイントを押さえることについては、これからというところかと思います。辛口にお感じになるかも知れませんがお気を悪くしないでご一読いただければと思います。
〇マンションの場合、小規模宅地の特例を適用しないのが一般的です。
実は、この特例の対象となる不動産は、土地についてのみでしたね。
前提として戸建の場合、土地が330平方メートルで、相続税の評価額が1平方メートル当り30万円と仮定しましょう。そうしますと、330×300,000=99,000,000の算式によりこの時の土地の評価額は、9,900万円となります。このうち、評価減できる80%の金額は7,920万円と高額の金額になることはお分かりかと思います。
一方、マンション(建物)もまた330平方メートルの敷地に建っていて、1平方メートル当たりの金額も前述と同額の30万円と仮定します。しかし、このマンションは、100世帯に分譲されていたすれば、土地の評価額はどのようになるのでしょう。
正解は、先ほどの計算による敷地の評価額9,900万円は100人の共有ですから、その時の1人当りの土地の評価額は、僅かに99万円に過ぎません。そうなのです。マンション全体の評価額は数千万円かも知れませんが、単純計算による土地の評価額は99万円で、このうち、特例適用により、80%を評価減できる金額は、僅少の79万円余りで税額に至っては、7万円強(税率が10%の場合)にすぎません。
〇所有物件が複数あっても居所は1か所となります。
また、なんといっても、この特例適用要件の重要なポイントがあります。複数の家屋をしかも相当の数を所有されている富裕層の人だっていらっしゃるでしょう。その場合も複数の家屋すべてにについて小規模宅地の特例が適用できるとなれば、不公平感をもたらしますね。
よって、そのようケースでは亡くなった方1人につき、1か所だけの規定となっています。そうしますと、先ほどの説明にあったように戸建(妹さん相続予定)で適用を受けた方が絶対的に有利ですね。
〇相続税額の計算は2段階で行います。
また、ここまでご説明してもなお、「妹だけが税額が軽減されて、自分にはその恩恵が受けられず不公平だ。」と千葉県の鬼太郎さん、お思いではないですか?
実は、「相続税は、もらった遺産に応じて各人の相続税を計算して納めるもの」と思われているのではありませんか? 要約すると「全く不正解」でもありませんが、相続税は他のいかなる税金とも計算方法が少し違います。
はじめに「誰がどのくらい相続したか」ではなく、「法定相続人は何人か」ということが大変大事です。お母様を相続人から除外していますよ(笑)。それによって基礎控除も違います。そして相続税の計算においては、法定相続分は、お母様が2分の1、ご兄妹が各4分の1となることもまた、肝心な部分です。
〇税額計算重要な第1段階
次に第1回目の税額計算ですが、課税相続財産の総額を誰が相続したか、あるいはしなかったかにかかわらず、先ほどのように、2分の1、4分の1、4分の1に切り分け、切り分けた後の金額に応じた税率を適用してそれぞれの税額を合計したものが相続税の税額です。
この時の税額合計を、仮に100万円としましょう。しかし、この段階では、一人一人の納税額は、決まっていません。。
〇税額計算の第2段階
ここで、実際に相続した遺産の評価額に応じた割合で、税額100万円を各人に振り分けます。仮にお母様が実際に相続した分がなく、兄妹が特例適用前の金額を2等分という分割であれば、兄妹各50%で納税額はそれぞれ、50万円となります。
千葉県の鬼太郎さんの税額だけが、特別大きくなる訳では決してないですね。ご安心ください。
相続税は、税額計算や評価といった部分が特に複雑なところがあります。おひとり悩まず、是非、税理士など専門家に相談をお勧めします。
 

評価・お礼

千葉県の鬼太郎さん (2016/07/25 02:50)

「一箇所だけ」という基本を理解できていませんでした。
非常に早く、かつ、丁寧に分かりやすく記述(回答)頂き、ありがとうございました。

柴田 博壽 柴田 博壽 (2016/07/25 20:39)

千葉県の鬼太郎さん 税理士の柴田です。
高評価をいただき、ありがとうございました。
税額計算を行ったうえで、対策を練るという進め方がよろしいかと思います。

(現在のポイント:-pt このQ&Aは、役に立った!

このQ&Aに類似したQ&A

大伯父の土地の相続について 2022/04/14 12:14 | 回答2件
父所有の土地に新築した後の相続 2017/09/27 09:49 | 回答2件
相続登記と相続税について 2016/07/08 18:49 | 回答1件

専門家に質問する

相続に関する疑問・質問に、専門家が回答してくれます。
「相続について疑問があるけど、直接専門家に相談するほどではない。」
「直接専門家に相談する前に、まずは、無料で質問してみたい。」といった方、お気軽に質問をお寄せください。

(全角30文字以内)

(全角1000文字以内)

[1]この内容はサイト上に公開されます。

  • ご質問の内容は、回答がついた時点でサイト上に公開されます。
  • 個人や企業を特定できる情報や、他人の権利を侵害するような情報は記載しないでください。

[2]質問には回答がつかないことがあります。

  • 質問の内容や専門家の状況により、回答に時間がかかる場合があります。
遺産相続について分からなくなったら「相続 専門家プロファイル」へご相談ください。
最適な相続の専門家を無料でご紹介いたします。 相談内容を入力する

※専門家の紹介、また、専門家からの提案・見積りは、無料でお使いいただけます。実際にお仕事を発注する段階で金額などは専門家と個別にご相談ください。