公正証書遺言と遺言無効確認訴訟
お手伝いが、不動産の8割がた、現金、預金については、ほぼ同様の公正証書遺言
を作成された様子です。高齢の叔母は、親戚付き合いも薄いため、
仲良くお手伝いとやっていた時期もありましたが、お手伝いが老人ホ-ムに叔母を
いれてしまうころには、叔母もお手伝いを嫌がり、首にしようとして、
給料を払わない時期もありました。
来なくて良いと、言い渡しても、相手がくるので、首にできなかったそうです。
お手伝いが、電話で、遺言のことで、姪に電話したとき、姪とお手伝いが
公正証書遺言にのっていると、言ったそうです。
どう考えても、推定相続人は、納得できないので、叔母が無くなったときには、
すぐ、遺言無効確認訴訟を起こすつもりです。注意すべき点を教えてください。
宜しく、お願い致します。
fighterさん ( 東京都 / 男性 / 58歳 ) | 2013/08/14 11:51
叔母さんが亡くなってからでは手遅れです。
初めまして、弁護士の鈴木祥平と申します。お話の内容が正確に把握出来ているかわからないですが、不動産の8割方、現金、預金についても同じような形でお手伝いの方に遺贈する内容の公正証書遺言が作成されたということでよろしいでしょうか。
公正証書遺言について遺言無効確認が裁判所で認められるためには、かなりハードルが高いと考えて頂いた方がいいと思います。
というのも、公正証書遺言の場合には、1.証人2人以上の立ち会いがあったこと、2.遺言者が遺言の趣旨を公証人に口授したこと、3.公証人が遺言者の口述を筆記し、これを遺言者及び証人に読み聞かせた又は閲覧させたこと、4.遺言者及び証人が、筆記が正確なことを承認した後、各自これに署名押印したこと、5.公証人が1~4の方式に従ったことを付記してこれに署名押印がされたことについて、公正証書上明らかになるので、無効を主張する側が無効であることの立証責任を課されることになります。
無効原因となるのは、以下のような事由です。
1.遺言時に遺言者の遺言能力がなかった
2.詐欺・強迫等があって遺言を作ったこと
3.遺言者の死亡以前に受遺者(遺贈を受ける人)が死亡していたこと
4.遺言の証人又は立会人の欠格事由
などです。
叔母さんが判断能力があるのであれば、再度、遺言を作成し直してもらうのが一番だと思います。遺言については一番新しいものが有効ですから、新しく作り直しても等うのが一番です。叔母さんがなくなった後に遺言無効確認の訴えを提起しても、公正証書遺言を覆すのは、かなり困難なことであり、もっと言えばほぼできないと言っても良いと思います。
評価・お礼
fighterさん (2013/08/14 17:58)
適確なご回答を有難うございます。老人ホ-ムで、介護5、コミュニケ-ション不可という
ことは、なすすべがないということになりますでしょうか?
鈴木 祥平 (2013/08/14 18:13)
遺言時にはどのような状態だったのでしょうか。遺言時に介護5、コミュニケーション不可という状態であれば、遺言時に遺言者の遺言能力がなかったという主張ができるでしょうが、本人の遺言能力がないような状態で公正証書遺言を作成することはあまり考えられませんから、覆すのはなかなか難しいと言わざるを得ません。