「弁護」を含むコラム・事例
118件が該当しました
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第3章 苦い後味 ?
ケース2 ある常習窃盗事件 第2回 Nの話を聞いている時の私の顔には、信用していいものかどうかの迷いが表れていたに違いないと私は自分でも思います。ただ、本当に身に覚えのないことなら、認めるのはよくないことです。私はNに「私はあなたの弁護人なのだから秘密は絶対に守る。だからもしやったのなら、私にだけは言ってほしい。もしやっていないのなら、あきらめずに争うべきではないのか。私も力...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第3章 苦い後味 ?
ケース2 ある常習窃盗事件 第1回 今回から紹介する事件は、今まで紹介してきたものとは異なり、私自身無罪を信じていいものやら悪いものやら、なんとも奇妙なものだったのです。 この事件もまた国選弁護事件でした。被告人はNという初老の男性で、常習累犯窃盗罪で起訴されたものです。その年の6月に電車の終点T駅にて深夜、停車中の電車内で眠っている乗客の懐中物(手帳など3点、時価合計...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第3章 苦い後味 ?
第4回 こうして公判は進み、最後に検察官の論告、弁護人の最終弁論を経て審理は終結しました。ところが裁判官が指定した判決言い渡し日はなんと、審理が終結してからわずか4日後でした。 これを聞いて私は不吉な予感がしました。真剣に無罪を主張してきた私としては、どんな判決が下されるにせよ、裁判官にはじっくりと時間をかけてこれまでの証言などをよく検討して結論を出してもらえるものと期待していた...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第3章 苦い後味 ?
第3回 公判は事件から2ヵ月後に始まりました。公判の最初の罪状認否でHは「私はやっていません。その時間には家で寝てテレビを見ていました」と述べて否認しました。 検察官の証人は被害者Kと事件の目撃者F。Fは犯行目撃後、警官に頼まれて交番に行き写真を見せられたので、「犯人はこの男に間違いない」と答えた、その後Hが交番に連れてこられて、警官から「あの人か」と聞かれたので「似ている」と答...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第2章 「カーキ色」は何色か?
第4回 1975年の夏から東京高等裁判所で始まった控訴審の公判では、新たに弁護人が申請した証拠物である上着2着が証拠として採用されました。この2着の上着はSが事件当夜着用していた上着(上着?とする)と、一審法廷でM巡査が指さして乙が着ていたものと同じ色であると証言した上着(上着?とする)とでした。 これまで述べてきたように、M巡査は乙の上着が「カーキ」色だった、Sが乙だと思った根...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第2章 「カーキ色」は何色か?
第3回 このような審理を経て一審判決が言い渡されましたが、結果は有罪で、懲役8月、執行猶予3年というものでした。裁判官は、Tはできるだけ正確な供述をするよう努めていることがうかがわれるので証言は信用できる、その証言に照らすと被告人の供述は信用できない、Tの証言は全体としてM巡査の証言の信用性を担保するのに十分である、として被告人を有罪としたのです。 法廷でこの判決の言い渡しを聞き...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第2章 「カーキ色」は何色か?
第2回 その後、私はSの仲間に話を聞いてみましたが、どうやらSの言うことは事実のようで、店に残ったSが、何分も先に店を出た仲間の中に初めから入っていることはありえないことと思えました。Sの人相風体はM巡査の挙げた乙のそれと似てはいましたが、当時の学生としてはよくある格好だったので、私は誤認逮捕ではないかと考えました。私はこのような事情を検察官にも伝えましたが、聞き入れてもらえず、結局S...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第1章 幼稚園児は青信号で横断したのか?
第9回 A君に対する証人尋問は、日中、事故現場で行われました。現場には裁判官、書記官、検察官、弁護人(私)のほか、F運転手も立会い、A君は母親に付き添われて現場に来ていました。 このとき、F運転手と顔をあわせたA君の母親はいきなり、周囲も驚くような大声で、「ひとごろしーっ」と罵声をあびせました。 A君の母親がこれほどまでにいきり立つのは、もちろんB君が亡くなったこともあるで...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第1章 幼稚園児は青信号で横断したのか?
第8回 事故のあった翌年1月から公判が始まり、Hさん、A君などの証人尋問が行われました。Hさんは、先の供述が間違っていたと警察あるいは検察から咎められたようで、「初め私は、青信号になる前に目の前を通ったダンプではなく、次のダンプが事故を起こしたと思い、そのように警察に話した。後でそうではなかったかもしれないということになったが、どうして私が責められなければならないのか」と、出廷に対して拒絶反...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第1章 幼稚園児は青信号で横断したのか?
第2回 私は事件の一週間ほど後に、F運転手の雇用主から依頼されて弁護人となりました。依頼されてすぐに警察に行き、F運転手に接見して事情を聞くと、次のような話をしてくれました。 「交差点にさしかかったとき、停止線の少し手前で信号が黄色に変わったが、そこでブレーキをかけてもすぐには停止できず交差点の中に入ってしまう距離だったので、そのまま交差点を全赤のうちに通過できると思いブレーキを...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
第1章 幼稚園児は青信号で横断したのか?
第1回 この事件で私が弁護を担当したのは、交通事故で幼稚園児を轢いて死なせてしまったF運転手(事故当時23歳)です。この事故は次のようなものでした。 F運転手は11月のある晴れた日の朝、運転する大型ダンプカーに工事現場に運ぶ砂26トンを満載し、片側二車線の交通量の多い幹線道路を西から東へ、およそ時速40キロメートルで走っていました。 F運転手が信号のある交差点の手前にさ...(続きを読む)
- 羽柴 駿
- (弁護士)
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