佐々木 保幸(税理士)- コラム「相続と所得税 被相続人の公租公課 (固定資産税)」 - 専門家プロファイル

佐々木 保幸
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佐々木 保幸

ササキ ヤスユキ
( 京都府 / 税理士 )
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相続と所得税 被相続人の公租公課 (固定資産税)

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2019-10-12 23:54

相続税の計算では、被相続人の相続財産から債務や葬式費用を差し引いた正味財産に、相続税が課される。

①被相続人が、負担すべき公租公課を支払わずに亡くなった場合、その公租公課は、相続税の計算上、相続財産から控除される債務になるか。

②その公租公課は、被相続人の所得税の準確定申告、あるいはその公租公課の支払義務を承継する相続人の所得税の確定申告のどちらにおいて、各種所得の計算上の必要経費に算入されるか。

1.債務控除

相続税の計算上相続財産から控除される債務は、相続開始の際に「現に存するもの」で「確実と認められるもの」に限られる。

「現に存するもの」

被相続人の死亡の際に支払う義務が確定していれば、必ずしも金額が確定していなくてもよい。債務の金額が確定していなくても、その債務の存在が確実であると認められるものについては、相続開始当時の現況によって確実と認められる範囲の金額だけが控除の対象となる。

「確実と認められるもの」

債務が確実であるかどうかについて、必ずしも書面の証拠があることを必要としてはいない。また、被相続人の保証債務は、債務の履行が確実でなければ控除できない。

2.公租公課

公租公課とは、国又は公共団体によって賦課徴収される国税、地方税、事業者負担金などの公的負担をいう。

相続財産から控除すべき公租公課は、被相続人の死亡の際に、債務の確定しているものである。被相続人に係るもので、被相続人の死亡後に相続人が納付し、又は徴収されることになった所得税も含まれる。ただし、相続人の責めに帰すべき事由によって納付し、又は徴収されることになった延滞税、利子税及び各種の加算税、地方税の規定による督促手数料、延滞金、過少申告加算金、不申告加算金、重加算金、滞納処分費は、含まれない。

3.固定資産税

固定資産税は、賦課期日1月1日現在の土地、家屋及び償却資産(これらを「固定資産」という)の所有者に対し、その固定資産の価格を基に算定される税額を、その固定資産の所在する市町村が課税する。納税義務者は、賦課期日1月1日現在の固定資産の所有者として、固定資産台帳に登録されている者である。固定資産税の納期は、市町村により異なるが、原則として、4月末、7月末、11月末、翌年1月末など、年4回などである。

 

(2)相続税における債務控除

固定資産税は、賦課期日1月1日において固定資産の所有者に納税義務が確定している。固定資産税のように賦課期日の定めがある地方税は、賦課期日において納税義務が確定したものとして取扱われる。したがって、賦課期日1月1日以後、被相続人について、未納となっている固定資産税は、相続税の計算上、債務控除の対象となる。

(3)所得税の各種所得の計算上における必要経費

業務の用に供される資産に係る固定資産税は、その業務に係る不動産所得や事業所得等の金額の計算上、必要経費に算入する。

その年分の各種所得の金額の計算上、必要経費に算入する国税及び地方税は、その年12月31日(年の途中で死亡した場合には、その死亡の時)までに、申告等により納付すべきことが具体的に確定したものである。

固定資産税について、必要経費に算入する時期は、原則として、納税通知等により納付すべきことが具体的に確定したときとされている。ただし、賦課課税方式による租税のうち納期が分割して定められている税額については、各納期の税額をそれぞれの納期の開始の日、又は、実際に納付した日の属する年分の必要経費に算入することができる。

 

(固定資産税の納税通知書が送達される前に死亡した場合)

固定資産税は、賦課期日1月1日において固定資産の所有者である被相続人に納税義務が確定している。したがって、賦課期日以後、死亡の時、未納である固定資産税は、相続税の計算上、債務控除の対象となる。

被相続人の死亡の日までに固定資産税の納税通知書が送達されていない(税額が通知されていない)ので、被相続人の所得税の準確定申告における不動産所得の金額の計算上、固定資産税は必要経費に算入することができない。相続人の不動産所得の金額の計算上、固定資産税全額を必要経費に算入する。

 

(固定資産税の納税通知書が送達された後に死亡した場合)

賦課期日以後、死亡の時点で未納である固定資産税は、相続税の計算上、債務控除の対象となる。

 必要経費に算入する固定資産税は、死亡の時までに、納付すべきことが具体的に確定したものである。 次の①と②のいずれかの取扱いとなる。

 ①全額が被相続人の必要経費とする場合

 固定資産税の納税通知書の送達(税額が通知された)後に、被相続人は亡くなったので、被相続人の所得 税の準確定申告における不動産所得の金額の計算上、固定資産税全額を必要経費に算入する。相続人のその年分の所得税の確定申告における不動産所得の金額の計算上、必要経費に算入する固定資産税はない。

 ② 「納期の開始の日」、「実際に納付した日」を基準として被相続人の必要経費とする場合

 固定資産税の「納期の開始の日」」、「実際に納付した日」を基準として、被相続人の所得税の準確定申告における不動産所得の金額の計算上、相続人の不動産所得の金額の計算上、それぞれ固定資産税を必要経費に算入する。ると

 

 

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