小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ通勤がないことであえて思う「通勤時間」のメリット
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ある調査によると、「通勤時間が40~60分」の夫を持つ妻の6割が、「夫が家族サービスをしてくれる」と答え、仕事とプライベートの切り替えができていて、家族との心理的な距離も近いのだそうです。この通勤時間が長くなるほど、「家族サービスをしてくれる」という実感は減少傾向にあるということでした。
私自身、会社員だった時代は、何度かの事務所移転があったりするなど、勤務場所が変わることはありましたが、どこも片道1時間半以上かかるところでしたので、どちらかと言えば遠距離通勤に近い部類だったと思います。
その当時は、とにかく通勤時間はムダだという感覚が強く、「わざわざ会社まで行かなくてもこんな仕事はできるのに・・・」といつも思っていました。
独立した今は、パソコンがあってネットにつながれば、資料作りや原稿書き、その他デスクワークのたぐいは、どこでもほぼ同じ環境で仕事をすることができます。いる場所によって多少にぎやかだったり、椅子や机の環境が違ったりするくらいのものです。
電話はどこにいても転送されてきますし、ファックスはメールに変換されて送られてきます。そんな訳で、毎日決まった時間に決まった場所へ通勤する必要は、ほとんどなくなってしまいました。
まさに会社員時代に思い描いていた理想の状態になった訳で、これについては良かったと思っていますし、その気持ちに疑いはありません。
ただ、自分として、今の働き方への違和感はまったくないものの、この調査結果を見ながら振り返ってみると、「仕事とプライベートの切り替え」と「家族サービス」の部分では、ちょっと思い当たることがあります。たぶんどちらもできていないように感じるのです。通勤時間がないにもかかわらず、遠距離通勤の人と同じ傾向のように思うのです。
まず、「仕事とプライベートの切り替え」については、いつでもどこでも仕事になったりプライベートになったりするので、場所をキーにして切り替えをすることはできません。普通は会社にいれば仕事、家にいればプライベート、通勤時間はその切り替え時間というように分けられますが、私のような仕事のしかたではそれができません。
「家族サービス」という点でも、同じく仕事とプライベートの区別があいまいになっているので、しづらくなっていることは確かです。
こう考えると、言われている「通勤時間が40~60分」というのは、頭を切り替えるには短すぎず長すぎず、絶妙な時間のように思います。長すぎることが良くないのはわかるとして、実は短すぎたり無かったりするのも、あまり良くないのかもしれません。
東京以外の地方都市では、「通勤時間が40~60分」というのは、おおむね平均的な時間であると聞きます。地方での生活の方が、心のゆとりが大きいと言われるのは、こんな部分にも理由があるのかもしれないと思いました。
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