小笠原 隆夫(経営コンサルタント)- コラム「仕組みがなければ伝わらない、先人も意識していた「知識・技術の伝承」」 - 専門家プロファイル

小笠原 隆夫
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オガサワラ タカオ
( 東京都 / 経営コンサルタント )
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仕組みがなければ伝わらない、先人も意識していた「知識・技術の伝承」

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社員にやる気を出させるヒントになるエピソード集 私の思い・考え 2015-04-14 08:00

 

 2013年に伊勢神宮で行われた式年遷宮(しきねんせんぐう)について聞いたお話で、とても印象に残ったことがあります。

 

 式年遷宮は、1300年間に渡って続けられている20年に一度の大祭で、社殿をすべて造り替え、殿内の神宝などを新調して、御神体を新宮へ移す一連の儀式をいい、この時行われたのは“遷御の儀”といって、そのクライマックスにあたるものだそうです。

 

 この“社殿を定期的に造り替える理由”には、神宮の永遠性を示すなどの宗教的な意味とともに、実は“建築様式の保存や建替え技術の伝承を行う”という意味もあるのだそうです。さらに儀式がなぜ20年間隔かというと、やはり宗教的な意味のほかに、当時の人の寿命や実働年数から考えると、20年に一度であれば、少なくとも人生で二度は遷宮にかかわることができ、二度経験すれば技術の伝承を行うことができるということがあるのだそうです。

 

 私が印象深かったのは、こんないにしえの頃でも、ずっと先の時代を見据えて、いかに技術を伝承していくかを工夫し、それを1300年という長きに渡って、今の時代まで実践し続けているということです。

 

 これは、創業100年を越える日本の老舗、長寿企業の話とも共通していて、

・創業者の理念を、誰でもわかる簡単な言葉や言い方で脈々と伝えている。

・100年先を見て、次の世代にどうやって引き継ぐかを常に考えている経営している。

 

ということを、皆さん意識的に続けていらっしゃり、それが理念や技術の伝承につながっています。

 

 もう一つ大事な点は、「定期的な大祭という本番の中に、技術伝承が考慮されて含まれていた」ということではないかと思います。これは、「どんなに練習を積んでいても、試合に出て実戦で使わなければ身に付かない」ということと同じ気がします。

 

 最近の日本企業では、団塊世代の退職に伴う技術伝承の問題が言われ、それに起因するような事象も見受けられますが、考えてみればほんのここ2、30年のことです。これは先人たちの取り組みからすれば、伝えようという意識も仕組みも実践も、すべて足りなかったということだと思います。

 

 さらに実践の場ということで考えると、最近の企業内の技術伝承は、必ずしも本番の試合ではなく、どうも練習試合止まりのレベルが多くなっているような気がします。

 知識や技術を伝承するためには、本番の経験が必要であり、その実践の場というのは、意図的に作らなければならないのではないかと思います。最近は、ここに工夫して取り組んでいる企業もたくさんあります。

 

 やはり、技術伝承のためには「いかに実践の場を作るか」、そして「それをいかに継続するか」が重要なのだと思います。


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