小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ結局損につながりやすくなる「その場しのぎ」
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企業の不祥事などで行われる記者会見を見ていると、時折「その場しのぎ」のウソに見えてしまうような場面があります。
会見は社長や取締役といった責任者の方々が対応することが多いですが、ご自身が直接関与していないような場合であれば、あまり把握していない内容もあるでしょうし、多少は仕方がない面があるのかもしれませんが、世間からの見え方としては、ずいぶん損をしていると感じます。
「その場しのぎ」の対応というのは、良くないこととはわかっていても、どんな人でも一度や二度はやったことがあるのではないかと思います。
何となくやり過ごすことができれば、それも一つの方法なのかもしれませんが、後からウソがバレて問題になったり、その場限りと思っていた人に再び出会って気まずい思いをしたり、信頼を失ったり人間関係を壊したりと、結局自分が損することも多いはずです。
これは私の知り合いの話ですが、なぜかいつも、「その場しのぎ」の対応ばかりをする人がいます。
例えば、セールスを断ろうとするような時、牛乳屋さんには「牛乳飲みません」、ふとん屋さんには「うちはベッドです」、畳屋さんには「畳の部屋がありません」というような感じです。本人は、こう言えばしつこく営業されなくてすむと思っているようです。
一見その場をうまくやり過ごしているように見え、本人もそれで困ったことがないからそうするのでしょうが、もしかすると後々で事情が変わって、その業者を利用しないとも限りません。業者同士につながりがあって、巡り巡ってウソがばれるかもしれません。
バレたとしても大したことがないのかもしれませんが、それが自分にとってプラスに働くことは、たぶん100%ありません。自分の損につながる確率だけが高まっていることになります。
それならば初めから余計なウソなどを言わずに、普通に「いりません」と断っていれば、こんなことを気にする必要はありません。
「その場しのぎ」を多用する人というのは、私は“ちょっと想像力が欠けている人”ではないかと思っています。
後でどんなことが起こる可能性があるのか、それが問題になるのかならないのかを考えていません。その場しのぎが相手に知られてしまう可能性はもちろん、人脈のつながり、将来的なかかわりの可能性などです。
一見「その場しのぎ」の対応であったとしても、その後に起こりそうなことに対する想像力が十分に行き届いていたとすれば、それはその時点で、もうすでに「その場しのぎ」ではありません。
想像力に欠けた「その場しのぎ」は、やっぱり損につながる確率が増してしまうのではないかと思います。
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