小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ上からも働きかければ「提案」だってもっと出てくる
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「うちの部下は自分から提案してこない」
「会議で積極的に発言する部下がほとんどいない」
こんな話を経営者や管理者の方々からたくさんうかがいます。確かにそう言いたくなる気持ちはよくわかります。
「俺たちの頃はもっといろいろ上司に言っていた!」などとおっしゃいます。実際にどうだったのかは判断のしようがありませんが、そう感じるところは確かにあるのでしょう。
ただ、私が思うのは、これもある意味「受け身」で「他責」ではないかということです。相手(部下)の行動を受け身で待っているだけで、思った通りにならないことを非難しているだけです。
ある中堅企業の社長さんの話ですが、この方はいつも社長室の扉を開けていて、「何かあったらいつでも来なさい」とおっしゃっています。常にウエルカムなスタンスで、話もきちんと聴いてくれる方です。
でもそんな社長室に部下たちがいろいろ話をしに行くかといえば、そんなことはありません。部下からすればやっぱりどこか敷居が高いし、相手が社長となれば、気軽に何でも話す関係ではないからです。
そこでこの社長さん、今度は自分の方から社長室を出て、社内を回りながらいろいろ話を聞くようにし始めました。
はじめは「最近どう?」なんていう程度の世間話からだったようですが、これを続けているうちに、少しずつ部下の方から「実は最近あったことで・・・」なんていう話が出てくるようになったそうです。
経営者や管理職の方は、よく「何かあったら言ってきなさい」などと言いますが、部下からすれば“何か”がどの程度なのかの判断は難しいし、気安く何でも話せる関係ならばまだしも、そうでなければ上の立場の人に話をしに行くのはそれなりのハードルがあります。
「皆さん質問がありますか?」と聞くと何も出てこないが、直接名指しで「質問がありませんか?」と聞くと、何かしら質問が出てくる様子と似ているかもしれません。
もしも“提案がない”、“発言が少ない”、“報告が足りない”、“コミュニケーションが少ない”などという課題を感じているならば、上司の立場からももっともっと働きかければ、もっともっといろいろなことが引き出せるのではないかと思います。
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