小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ任せているつもりで実は任せていない人
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何でも自分でやらないと気が済まない人っていますよね。
中小企業の社長さんなどには、こういうタイプの人が多いかもしれません。人材育成のためには任せていかなければダメと思いながらも、まだ任せられない、任せるのが苦手、自分でやった方が早いなどといって、ついつい自分でやってしまいます。
こういう人は、“本当は相手にきちんと任せていかなければならない”という意識があるからまだ良いのですが、問題は、“本人は任せるタイプの人間と自己評価しているのに、実際は全然そうでない”という場合です。
どんなことかというと、任せているのが“手足を動かすような作業の部分だけ”で、考えることや決めること、判断することは、全部自分でやってしまっているというような状態のことです。また、ちょっとした作業レベルのことであっても、手順ややり方を事細かに指示したりします。
これは、決して「任せている」のではなく、ただ「やらせている」だけです。
実は私自身も、自分でやらないと気が済まないという傾向がありますが、企業に在籍して部下を持っていた頃は、どうしても自分にこだわりがあることだけを自分でやるようにして、それ以外のことはできるだけ人に任せるようにしていました。そして結果が自分の思う通りにならなくても、大きな問題でもない限りはそれで良いと、ある意味あきらめるようにしていました。
自分がやらないことで、仮に一時的にレベルダウンすることがあっても、相手に責任感を持たせた上で経験を積ませなければ、絶対に人は育ちません。その責任感も、本人に考えさせ、本人に決めさせなければ、決して生まれてきません。そうやって、本当の意味で「任せた」上での指導、アドバイスでなければ、本人は聞く耳を持てないし、身にも付きません。
やっぱり物事へのこだわりが強い人、些細な事でも気になる人ほど、人に任せるということが苦手のように思います。
皆さんの部下指導は、本当に「任せて」いますか? 実は「やらせている」だけではないですか? 今一度振り返ってみてはいかがかと思います。
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