小笠原 隆夫
オガサワラ タカオ「評価制度見直し」の理由を見ていて思うこと
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「人事評価制度を見直したい」というご相談を受けることが、最近多いように感じます。課題を抱えているという企業がそれだけたくさんあるということですが、評価制度を見直すという事情は各社各様です。
そんな状況ではありますが、発生している課題が明らかに評価制度に起因していて、その修正が解決策として最優先になるというケースは実は少なく、「活気がない」「マネジメントが弱い」「退職者が多い」「人材が育たない」などの人事上の課題を、「評価の仕方に問題があるだろう」という想像で考えているケースが意外に多いです。
「活気がないのは、給与の評価反映が少ないからだろう」
「マネジメントが弱いのは、ルールが細かく決まっていないからだろう」
「正当に評価されていないと感じるから辞めてしまうのだろう」
「その人の評価に合わせて仕事を与えないから、人材が育たないのだろう」
など、“きっと~だろう”という推測の中で、起こっている現象と評価制度の関係を考え、課題としてご相談を頂きます。
特に社長をはじめとした会社の上層部の方からお話を頂く場合、「優劣、白黒をはっきりつけること」が組織化や活性化につながると考え、“だから評価制度だろう”ということが多いように感じます。
これはこれで間違いではありませんが、“優劣や白黒をはっきりつけること”と“組織化や活性化につながること”は必ずしもつながっている訳ではありません。
結果主義が行き過ぎてプロセスに注目しなくなることで、社内の活気がなくなってしまうこともあるし、ルール化を進め過ぎて社員が自律的な判断をしなくなり、結果としてマネジメントがさらに弱くなったり人材が育たなくなったりもします。
このあたりは起こっている現象とともに、在籍している社員のタイプ、性格、資質といったところにも左右されますから、いきなり競争をあおる制度を入れても、みんなが上昇志向で競争し始めるとは限りません。もしかすると草食動物の群れに「明日から肉を食え!」と言っているようなことになりかねません。
人事評価制度に課題がある企業は非常に多いですが、起こっている現象とともに、社風や職種にからんだ人材タイプ、集団として見える社員の性格特性、人にまつわる過去からの経緯、今後その人材特性を維持したいのか、それとも変えたいのかなど、周辺事情を総合的に見る必要があります。私たちが制度作りをするにあたっても、このあたりを見極めることから始めます。
「評価制度の見直し」を考えるにあたっては、自社の状況を今一度見直していただければと思います。
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