振り込め詐欺にやられた
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主婦A「昨日、実家の母親から振り込め詐欺のような電話があたらしいわ」
会社員C「それは物騒だね。たしか一人暮らしだよね」
主婦A「だから狙われたのかしら。でも騙されなくてよかったわ」
会社員C「最近は手が込んでいて、簡単に振り込め詐欺だと思わないような手口が流行しているらしいからこれからも注意しないと」
主婦A「そういえば先日お隣で泥棒が入って、へそくりが盗まれた時、雑損控除が使えるって言ってたけど、振り込め詐欺ではどうなのかしら」
会社員C「振り込め詐欺も現金が盗まれたようなものだから、使えるんじゃないのかな」
主婦A「そんな気がするわね」
先生B「こんにちは」
主婦A「先生、ちょっといいかしら。うちの母親が踏み込め詐欺に引っ掛かりそうになったんですけど、もし振り込め詐欺にあったとしたら先日教えてもらった雑損控除って使えるのかなと思って」
先生B「ほう、なるほどなかなかいい視点だね。結論からいうと使えないんだ」
会社員C「そうなんですか、へそくりが盗まれたのと同じじゃないかと思っていたんですが」
先生B「確かに、表面上はそう見えなくもないが、国税不服審判所でもこの裁決があったんだ」
主婦A「そんなに難しいことだったの」
先生B「その裁決では、
(1) 上記詐欺の犯人が指定した口座に3回にわたり振込送金した請求人の行為(本件各振込み)自体が、請求人の意思に基づいてなされているから、本件損失は「災害」による損失に当たらないこと、
(2) 「盗難」の意義は「財物の占有者の意に反する第三者による当該財物の占有の移転」と解されるところ、本件各振込みが請求人の意思に基づいてなされているから、本件損失は「盗難」による損失に当たらないこと
(3) 「横領」の意義は「他人の物の占有者が委託の任務に背いて、その物につき権限がないのに所有者でなければできないような処分をすること」と解されるところ、請求人が振り込んだ金銭に対する所有権は本件各振込みを終えた時点で、当該金銭に対する占有とともに上記詐欺の犯人側へ移転したと認められ、当該犯人はそもそも請求人の物の占有者ではないから、本件損失は「横領」による損失に当たらないこと
先生B「したがって、振り込め詐欺による損失は、雑損控除には当たらないという結論だよ」
主婦A「いや なんか難しい言葉がいろいろ出てきたけど、自らの行為によるものだからだめってことですか」
先生B「雑損控除は、災害や盗難など自らの意思に基づかないことが客観的に明らかな事由によってその損失が生じた場合に限定しているんだ」
会社員C「なるほど、一発当てようとする投資詐欺みたいなものもだめなんだ」
主婦A「そもそもお金のないあなたにはそんな話は来ないから大丈夫よ」
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