須永 豪(建築家)- Q&A回答「それは暑いでしょうし、マンションには特有のリスクがありますよ」 - 専門家プロファイル

須永 豪
響きあう木の空間

須永 豪

スナガ ゴウ
( 長野県 / 建築家 )
須永豪・サバイバルデザイン 
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マンション最上階(屋根のないルーフバルコニー)

住宅・不動産 住宅設備 2013/07/16 20:58

マンションを購入予定ですが、リビングが西向きの6階建ての最上階で(周りに高い建物は無く開放感あり)、一般的なベランダではなく、ベランダ部分が屋根のないルーフバルコニーとなっています。
ワイドスパンのリビングからの30平米のルーフバルコニーなので、開放感は望めそうですが、西日が心配です。(更には最上階なので、屋上からの熱も心配です。)
複層ガラスであることや、屋上は断熱性に優れた外壁使用のため中層階と変わらないはずとの説明は受けていますが、周りからは「夏は厳しいのでは?」と言われています。実際どうなのでしょうか?
そして、万一夏の西日による暑さが厳しかった場合、自分たちで入居後にできる対策はあるのでしょうか?

補足

2013/07/18 21:13

いろいろなご意見ありがとうございます。
やはり、この物件は見送ったほうがいいのかな・・・と思い始めていますが、
私の説明に少し不足な点があったので一応補足を。
マンションは新築で現在建設中です。大手ディベロッパー(業界三位以内)の物件です。
なので、ある程度の営業マンの説明は真に受けてしまっていました。
屋根は全く無いわけではありませんが、普通のルーフバルコニーへの窓からの入り口程度(スリッパなどが置ける程度)です。
それでもやはり、マンションのベランダの屋根まではありません。
ロールカーテンは必須だと思っていましたので、それは自分たちで後々設置可能なことを販売側に確認済みです。
さらにはルーフバルコニーを全面ウッドデッキにしたり、窓にはフィルムを貼ったり、もちろん夏にはグリーンカーテンをしようと思ってはいましたが、
それでもやはり厳しいでしょうか。。。
角部屋ではありません。

ルーンさん ( 東京都 / 女性 / 33歳 )

それは暑いでしょうし、マンションには特有のリスクがありますよ

2013/07/17 23:01

こんにちは。須永豪と申します。

検討中のところは、
「建築中の新築マンションで、実際に完成した様子がわからないけれど、
買うかどうかは先に決めなければならない」
ということでしょうか。

「現在の東京の夏は、沖縄より暑い」と
私の沖縄の友人も言ってるくらいなので、

お書きになっているその条件では、
おそらく、それはもう暑いでしょうね…。

暑いのも西日も気にならない、というかたが暮らすなら構わないと思います。
そうでないのなら、
その物件は、私ならおすすめはできません。

なぜなら、
ベランダ床のコンクリート全面が熱くなって、
空気がそこで熱せられ、熱風となります。
窓を開ければ、それが室内へ入ってきます。

コンクリートは蓄熱するので、
夜になってもなかなか冷めません。

私は生まれ育ちが東京なのですが、
20年前、30年前までは、夏はほぼ毎日夕立が降りました。
それで建物も地面も冷えてリセットされてました。

でも、いまは夕立がグッと減ったので、
今日の暑さが明日へ持ち越し、ですよね。

そんな中で、
もし夏の間ずっと、窓を締め切ってエアコンに頼ろうとすれば、

建物自体が蓄熱で熱いところを、
エアコンがひたすら頑張り続けることになるので、
電気の使用量はかなりのものでしょう。

あとは、
ベランダ床の熱が輻射で窓ガラスを通過して部屋へ入ってきます。
複層ガラスでもそれは防げませんので、
カーテンを閉めるか、外側にシェード(日よけ)を設置することになるでしょう。

となると、せっかくの眺めも、
夏の昼間は活かせません。

「中層階と変わらないはず」という説明は、
残念ですが、熱のことをよくお分かりでないかたのようです。
中層階とは日の当りかたという『条件が変わる』のですから、
暑さという『結果も変わる』のが当たり前です。


あとは、ベランダに屋根がないということは、
暑さの心配以外にも、実用上も難点が多いです。

雨が窓ガラスに直接当たるので、少しでも雨が降ると、
窓を閉めなくてはなりません。
タイミングを誤って、雨が吹き込むことも多くなります。

ちょっとした風を伴う程度の雨でも、
雨が音を立てて窓ガラスに吹き付けるので、
その音が怖いかも知れません。

ベランダ用のサンダルはすぐに濡れますし、
ベランダに置く物も濡れるので、出しておけるものが限られる。

などなど、
他にも色々とデメリットは思い浮かびそうですが、
このへんにしておきます。

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そして、ここから先は、余計なことかも知れませんが、
分譲マンションは負の資産となることがある、
というリスクはご存知ですか?

阪神淡路の大震災で新しいマンションも、倒壊せずとも大きな被害を受けました。
ところが、
それをお金をかけて補修するか、建て替えるか、こわれたままか、
住民同士が10年経っても合意に達することができず、手つかずで、

かといって、そこを出て売りたくても、
壊れているマンションを買ってくれる人はなく、
ローンだけは残り、
ということが起きています。

NHKスペシャル 2005年1月16日放送
阪神・淡路大震災10年 マンション再建 住民の選択
http://www.nhk.or.jp/special/detail/2005/0116/

東京にも大きな地震は来ます。
また、地震で被害がなくとも、
数十年後の『老朽化』でも同じ課題が発生します。

住まいは人生を左右する買い物ですから、
そういうリスクまで考えておかれた方が良いかと思います。

私はかつてマンションばかり設計する設計事務所に
勤めていたことがありましたが、
今ではマンションの仕事は一切やりません。

こういったリスクはすでに想定されているものですから、
あとになって後悔するようなかたが、ひとりでも減ってほしいと思い、
返答させていただきました。

このような内容に興味をもたれ、もっと学びたいというかたへは、
詳しくアドバイスもいたします。
(回答を読まれたかたも結構です)

ホームページ:http://sunaga.org
メール:sd@sunaga.org
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