しすい ことね(獣医)- Q&A回答「前庭疾患の再発と治療法について」 - 専門家プロファイル

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前提疾患再発

人生・ライフスタイル ペットの医療・健康 2022/06/04 22:43

飼っている犬(15歳)が、3ヶ月ほど前に前提疾患と診断されました。その際は、自分で立てず、ご飯も水も自分でとれない状態で、ふせをした状態で左右にユラユラと揺れる症状がありました。1週間入院してその後、薬のおかげもあり少しよろけることがあるものの、自分で立ち、ご飯も水も自分でとれるようになりました。
ですが、お薬を欠かさずあげ続けてるにも関わらず、3ヶ月後の今朝、前回ほどではありませんが、左右にユラユラと揺れたり、よろけたり、転んだりと、前提疾患のような症状が見られ、病院へ連れていきました。ステロイドで様子を見ましょうと言われたので、様子見ようと思っているのですが、疑問があります。なぜ、お薬をあげていたのにも関わらず、再発してしまったのでしょうか?そして、治る確率はあるのでしょうか?詳しい方にお話を伺いたいです。

Ziminkさん ( 東京都 / 女性 / 20歳 )

前庭疾患の再発と治療法について

2022/06/04 23:54
( 5 .0)

こんばんは。獣医師のしすいと申します。

前庭疾患は老齢犬で特発的に起きることが多いです。
ある日急にフラフラして立てなくなったり、眼球振盪(がんきゅうしんとう)といって左右もしくは水平方向に目が無意識に動いたり、頭が傾く斜頸という症状などが出ます。平衡感覚を失っている状態なので人でいうとめまいや船酔いをしたような気分になります。
常にクラクラしている状態ですので気持ちが悪いため食欲も飲水も自分ではできません。ですので発症直後から点滴をして体内の水分補給を行うとともに治療をします。
文献などによりますと3〜7日で改善されると記載されていますが実際は個体差が大きく改善するのにも時間がかかる事もあります。

毎日投薬をされていたとのことでそれでも再発してしまったことに不安をお持ちになれているようですが残念ながら1度発症すると再発するケースが多いです。
今回処方されたお薬がステロイドとのことですが先生は脳炎や神経の炎症からきていると判断されていると思います。
前庭疾患の原因は特発性のものや老齢から来る場合、脳や三半規管のみならず他の疾患も併発している場合があり、総合的に症状が見られることと考えられています。特に脳に水が貯まる水頭症や脳に器質的な変化がある場合は根本的な治療は難しいです。ですから完治をするのは年齢から推測すると難しいと思います。これからお薬を毎日あげていることである程度症状を抑えることは可能かと思いますがもしかすると症状を繰り返す頻度が高くなる恐れもあります。
水頭症も前庭疾患と似たような症状を表しますがこれはCTを撮影するとわかります。また脳内に水が溜まっている場合はお天気に左右されることが多く、低気圧が近づくと調子が悪くなりやすいです。また水頭症の場合は左右のどちらかに回転するような典型的な症状が見られます。フラフラしているだけでしたら前庭疾患である可能性が高いです。

結論からするとご高齢の犬とのことで精密検査を受けることも良いかと思いますが、診断がついても再発しやすいという状況も含め完治することは難しいと思います。
ですので対処療法ということで症状がひどい時には病院で治療を受けて体調を整えながら穏やかに過ごされることが良いかと思います。

お薬を飲ませ続けることは大変かと思いますがどうぞ続けてあげて下さい。
どうぞお大事になさって下さいませ。

評価・お礼

Zimink さん

2022/06/05 11:12

ご回答ありがとうございました。
綺麗な言葉で片付けずに、分かりやすくありがとうございます。とても、勉強になりました。
再発してしまった以上、 しょうがない事だと思いますので、飼い主として責任をもってお世話したいと思います。
また、気圧の変化に左右されるということは初めて聞きました。
天気に気をつけながら、様子を見ていこうと思います。

しすい ことね

2022/06/05 15:50

ご丁寧に評価をして頂き有難うございました。獣医医療の向上とオーナー様の高い意識、快適な生活環境が整いペットの平均寿命も伸びて参りました。それに伴い高齢のペットのお世話や治療も煩雑になっています。寿命が伸びたと言っても15歳という年齢を共に過ごせていることは大変素晴らしいと思います。一重にオーナー様の愛情による証です。
残りの時間を大切にお過ごし頂けるよう心より願っております。
有難うございました。

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