中尾 恭之(社会保険労務士事務所レリーフ)- コラム「3分で読める!社労士コラム ~労使のバランス・オブ・パワー~第5回(ハラスメント)」 - 専門家プロファイル

中尾 恭之
答えで際立つ社労士

中尾 恭之

ナカオ ヤスユキ
( 大阪府 / 社会保険労務士事務所レリーフ )
代表
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3分で読める!社労士コラム ~労使のバランス・オブ・パワー~第5回(ハラスメント)

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2022-04-28 16:49

 ニュースでは値上げなのに年金が減らされる・・というふうにネガティブな言われ方をされているようですが、まずは目の前に咲き誇っている桜をみて気持ちをあげていきたいところです。

 さて、わたしの担当する分野ではさまざまなことが新たに始まっています。

 今回のコラムでは、そのなかでも職場でのハラスメントに関して、すべての企業に義務が課されるようになったことについて取り上げたいと思います。

 ここで大事なのは「すべての企業」ということで、たとえ従業員が一人であっても義務が課されるということです。

 どういう義務かというと、「職場におけるパワーハラスメントを防止するために講ずべき措置」として、①事業主の方針の明確化及びその周知・啓発、②相談(苦情を含む)に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備、③職場におけるパワーハラスメントへの事後の迅速かつ適切な対応④併せて講ずべき措置(相談者・行為者等のプライバシーを保護するために必要な措置、 事業主に相談したこと、事実関係の確認に協力したこと、都道府県労働局の援助制度を利用したこと等 を理由として、解雇その他不利益な取扱いをされないこと)が求められます。参考資料は下記URL↓

https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/000611025.pdf

 さて、このような改正を労使のパワーバランスという視点を当てはめてみると、どういう景色が見えてくるか。

 会社という組織は、上下の関係です。「指揮命令権」というのが会社(使)にあり、それに従う義務が従業員(労)にあります。これは法改正されようがされまいが変わりません。「うちはフラットな組織だから」という言い方をされることがありますが、うさん臭さが伴います。何かを決定するというのは他の意見を排除しないとできないのですから、「排除権」あるいは「拒否権」のようなものが誰かに与えられないといけないのであり、それが労使の「使」のほうにあるわけです。

 入社なり入職なり、何かの組織に「労として入る」のは、組織上の決定をする際に、「労」の意見を「使」に排除・拒否されてもいいという関係に入ることに同意する意味です。個人の持つ権利(決定権)の一部を、他人に委ねると言い換えてもいいでしょう。

 ここで大事なのは、あくまでも組織上の決定においてそうした上下関係のような関係に入るということであり、人として上下関係に入るという意味ではありません。

 ところが、その関係が人としての上下関係にまで拡大解釈されてしまうことが往々にあり、それによって理不尽な言動(ハラスメント)が横行してしまうというのが、会社などの組織の日常風景になってきました。労使のパワーバランスに、大きな大きな偏りがあったのです。

 永い間、この問題は放置されてきました。悲しい事件が数々起こってもです。そこに「生産性」という言葉があてはめられることで、ようやく政府の関心(経済・景気)とリンクされることによって、偏りにメスが入りました。なんだかモヤモヤしますが、前進は歓迎していいでしょう。

 「会社なんて理不尽なことを我慢して当たり前」という意識が骨の髄まで浸透している方々には、こうした法改正を理解することが難しいかもしれませんが、なんのことはなく、元々人は平等であり、業務上の指揮命令や組織の決定以外のところで上下関係を持ち込まないことのほうが自然なのです。

 感情的に納得できないのであれば、まずは「生産性をあげる(業績UP)のため」と考えるところからでもいいので、今回の施行をきっかけに健全な労使のパワーバランスが実現するといいなと思います。

 「理屈はわかったけど、どうしたらいいのかわからない」ということも多いでしょう。社会保険労務士は、こうした分野について様々な手法を知っている専門家です。少しずつ、できるところからで大丈夫です。当事務所では、お金をかけずに大きな効果のでる方法についても提案いたします。

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