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意外と見つけにくいノミの発見方法
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意外といても気づきにくいノミ寄生。
うちのワンちゃんに限って、ネコさんに限ってなどと思っている飼い主さんもいらっしゃるでしょうが、本当にお宅のワンちゃん(ネコさん)大丈夫です!?
毎日暑い日が続きますが、これに合わせて皮膚病のワンちゃん、猫さんが病院に大挙してやってきます。
これは暑さや湿気で細菌、カビなどの繁殖が増えたり、あるいは暑くなるだけでアレルギー体質のワンちゃんなどは痒みが出やすくなったり、ということもありますが、ノミ、ダニなどの外部寄生虫が活発に活動を始めるという原因もあります。
ダニは前回のコラムで取り上げましたので、今回はノミ。
ノミは寄生されてもなかなか発見できません。
それはワンちゃんもネコさんもみなグルーミングをして自分で処理してしまうためで、よほどの大量寄生でもしない限りなかなか、ノミの現物をワンちゃんたちの背中で発見することは困難です。
逆に言うと、背中でノミを発見したら、すごい量の感染があると考えるべきですね。
で、私たち獣医師はどうやってノミを発見するかというと、まず探すのは背中の毛の間に黒い粒(ノミ糞)、そして白い粒(ノミの卵)です。
このノミの卵もなかなか見つけにくく、飼い主さんの中にはフケと勘違いされている方も多いです。
そしてもう一つ、皮膚病の発症部位がちょっと特徴的です。
ワンちゃんの場合はなぜか尻尾から腰にかけての腰背部に出やすく、腰やお尻のあたりだけ脱毛していたり、発疹があったり、かさぶたがあったりすると、たとえノミやその卵などが発見できなくても、ノミ寄生を疑います。
ちなみに猫さんの場合は主に頭部から首、肩のあたりのこれまた背中に発疹、脱毛、かさぶたができることが多く、このあたりをやたらと引っ掻いてくると、もしかしてノミかも、と思うわけです。
このひっかき傷が化膿したりすると、飼い主さんは外で他の猫に怪我させられたのかも、とあわてて病院に来られるのですが、実はこれはあまりの痒さに自分で引っ掻いて作った傷だったりするのです。
ただネコさんの場合気をつけなければいけないのが、カイセンなどの皮膚に寄生するダニ(肉眼ではちょっと見つけられない小さなダニ)でも同じような場所に症状が出るので、必ずノミ、とは限りません。
昔は検査をしてダニが見つからなかったらノミかも?
でも一回検査したくらいでは見つからなくともダニの可能性が…なんて悩んだものです。
ところが最近はレボリューションという薬など、ノミにもダニにもどちらにでも効くという便利な薬ができてきたので、検査をしてもしダニが見つからなくとも、念のためこの薬を、なんてハズレ知らずの治療ができるようになりました。
うちは二匹ワンちゃんを飼っているけど、症状が出てるのは一人だけだから、ノミじゃないと思うわ、なんてことを言われることも結構あるのですが、ノミが寄生しているからと言って、必ずしもはっきりとした症状が出るとは限りません。
ノミに寄生されて腰のあたりや頭のあたりに湿疹が出るのは、ノミに血を吸われた場所というよりも、ノミに対する一種のアレルギー反応です(ちょっと語弊があるのですが)。
なので、極論ですがノミアレルギーを持つ子だけが症状が派手に出て、ノミアレルギーを持っていない子は寄生されていても、平気な顔をしてたりするわけです。
で、ノミアレルギーの子だけ駆虫すればよいかというと、そうではなく、もう同居ワンちゃん(あるいはネコさん)は無症状だけどノミを背中に飼って、こっそり増産しているわけで、こちらも合わせて駆虫していかないと、根本的な解決にはならないのです。
ちなみに人間にもやはりノミアレルギーはあり、おうちのワンちゃん、ネコさんにノミ寄生があっても、飼い主さんによっては症状が出る人と、出ない人がいます。
人間がノミに刺されて症状が出るのは主に足(とくに足首付近の地面に近い部分)。
ここに春から秋にかけて、発疹が出るなーという人はノミアレルギーの疑いありです(ちなみに私はノミアレルギーです)。
一緒に生活していても、全く発疹が出ない人はノミアレルギーを持ってないうらやましい人です。
ワンちゃんやネコさんになんの症状もなくとも、飼い主さんの足首付近に毎年なるになると発疹が出るなーなんて人は、念のためワンちゃんたちを連れて、動物病院で健康診断を受けられたほうがよいのかもしれません(ご自身の治療はもちろん人間のお医者さんへ)。
寒くなると自然に治るからいいわ、なんて言ってる場合じゃありません。
それは単に寒くなって、ノミの数が減っているだけですから。
たとえ症状がなくとも、おうちの床にノミの卵や蛹が大量に転がっているってことですよ。