おすすめコラム
犬の椎間板ヘルニアを予防するには
-
前回ダックスフンドが椎間板ヘルニアになりやすのはなぜか?
というコラムを書かせていただきましたが、今回はその予防方法についてです。
と言っても、ダックスフンド以外の軟骨異栄養性犬種(シーズー、コーギー、ビーグル、フレンチブルなど)も予防方法は基本的には一緒ですので、ダックスフンドだけでなく、他の犬種の飼い主様もぜひ覚えておいてください。
よく飼い主様に椎間板ヘルニアの説明でお伝えするのが、「椎間板ヘルニアになりやすいワンちゃんの条件」です。
それは
1. 軟骨異栄養性犬種
2. 3歳以上
3. 太っている
4. ドッグフード以外のおやつをよく食べている
5. 部屋の中で放し飼い
この5つの条件のうち3つ以上を満たすと、椎間板ヘルニアになりやすいです、と説明しています。
1,2はまあしょうがないとして、予防するとしたら3以下の条件をいかに減らすか、ということになります。
3の肥満は、なんとなく書かなくてもわかりますね。
人間もそうですが、肥満は背骨に限らず関節への負担がかかりやすいですから、言わずもがなのことですが、気をつけなければいけないのはだからと言って痩せすぎが良いかというとそうでもありません。
やはりきちんと栄養バランスをとった食生活が重要ということになります。
以前手術をした子で、結構痩せていたのですが、食事の半分以上がササミで、カロリー的にはさほど間違っていなかったのですが、非常に偏った食生活だった、という子がいました。
人間もそうですが、やはり太りすぎも痩せすぎも、あるいは極端に偏った食生活も体には良くないということなんでしょうね。
4に関しては、やはりおやつ関係が多すぎる場合、ということになります。
うちの子にはそんなにおやつはあげてないから大丈夫、と思われた方、本当に大丈夫ですか?
たとえば3kgのワンちゃんの場合、私の体重の20分の1の体重ということになります。
そうすると、たとえば毎日ジャーキー1本与えるということは、私がジャーキーを毎日20本食べるということですし、1日ジャーキー5本与えるということは、私が毎日ジャーキーを100本食べるということです。
あるいは人間の目で見るととても小さいボーロやビスケットも、ワンちゃんの視線で見ると、それこそピンポン玉くらいのボーロを食べていると考えるべきなのかもしれません。
ワンちゃんにおやつを与えるときは、それを10~20倍くらいにしてみたときに、本当に妥当な量なのかよく考えてあげましょう。
そして最後の5に関しては、過剰な運動を避ける、ということです。
年齢にもよりますが、小型犬にとっての1時間というと、人間にとっては4時間くらいの長さに相当します。
そうすると1時間ケージから出て、部屋の中を走り回ったりしていると、人間で言うと4時間ほど運動を続けている状態ということになるわけです。
人間ならここで息切れをして、休憩をというところなのですが、ワンちゃんは1時間くらいではへこたれずに、運動し続けることができます。
特にダックスフンドなどの関節が弱い犬種にとっては、関節的には1時間が連続稼働時間としては限界のはずなのに、体力的には2,3時間動き続けることができるわけで、これは過剰な運動ということになってしまいます。
いつまでも外で遊びまわっている子供をお母さんが家に引き戻すように、1時間ケージから出して遊ばせたら、1時間くらいはケージで休憩をとる時間を作ってあげましょう。
また、フローリングや畳などのすべる床材での運動は関節への負担が大きいので、カーペットなどを敷き、滑らないように気を配ってあげるとよいでしょう。
そしてソファー、階段などの上り下りは、これまたワンちゃんにとっては過負荷の運動ということになりますので、これらに上らないようしつけるか、あるいはバリケードなどで登れないようにしておくか、いずれかの必要があります。
24時間ケージに入れて、全く運動せず、筋肉もつけず、というのももちろん良くないのですが(何かの治療中という場合は別ですが)、頑張りすぎる子供をある程度コントロールするのも親の務めなのかもしれません。
まとめると
1.栄養バランスのとれた食事で太らせない(痩せさせすぎない)。
2.おやつ与えすぎない。
3.過剰な運動は避ける(運動不足もダメ)
というところです。
あと、前回記載したように、椎間板ヘルニアも一種の関節疾患ですから、コンドロイチンやサメ軟骨、緑イ貝などのワンちゃん用関節サプリを、予防がてらに与えるのもよいかもしれません。
どうせおやつとして何かを与えるのなら、このようなもののほうが良いと思いますので、一度主治医の先生に相談してみてはいかがでしょう。