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梅雨といったら外耳炎
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6月に入り、そろそろ梅雨入りした地域の方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私が現在いる富山県はまだのようですが、ほんの数週間前まで、タオルを干してもなかなか上がらなかった部屋の湿度も、今は何もしなくても60%近くになり、もうすぐそこに、梅雨がやってきているのかもしれません。
こんな時期に増えてくるのが、外耳炎や皮膚病の患者さん。
ダックスフンドや、シーズー、ゴールデンレトリバー、ラブラドール、コッカースパニエルなど、垂れ耳で、皮膚が弱い犬種では特に多く見られます。
かく言う私もアトピーもちの皮膚が荒れやすい体質で、他人事ではないシーズンです。
痒いというのは確かに命に関わる問題ではないかもしれませんが、痛みや苦しみとはまた違った苦痛があるものなのです。
こじれる前に、早め早めに治療が必要です。
この外耳炎、様々ある病気の中で、数少ないおうちで早期発見が可能な病気で、獣医師でなくとも、結構簡単に見つけることができます。
診断方法はいたって簡単。
耳垢があるかどうかです。
基本的にイヌの耳の中には耳垢がありません。
人間のように正常でも常時耳垢がたまり、しょっちゅう掃除をしなければいけない不便な生き物ではないので、正常な耳はそもそも掃除をほとんど必要としません。
ですから、おうちでワンちゃんの耳の中をのぞいてみたときに、耳垢があったら、とりあえず主治医の先生に見てもらったほうが良いのです。
ここで大事なのが、獣医師は耳垢の検査で、外耳炎の原因が何かを診断します。
たとえば黄色い耳垢は細菌性の外耳炎、黒や褐色の耳垢はカビやダニが原因の外耳炎、耳垢はほとんどないのに赤みだけが強いものはアレルギー性の外耳炎。
もちろん、いくつかの原因が合わさってということも多いので、そこまで単純な話ではないのですが、耳垢がどの程度あって、耳の赤みはどれくらいで、というのは獣医師にとってとても大事な情報なので、おうちでいきなり耳掃除をしてしまわず、まずはそのまま病院に連れて行ってあげるのが良いでしょう。
また、イヌの耳は人間の横穴だけの単純な構造ではなく、まず垂直耳道という縦穴があり、その後90度曲がって水平耳道という横穴があり、その奥に鼓膜があります(L字型といいますか)。
下手に綿棒を突っ込むと、耳垢を奥の水平耳道に詰め込んでしまう危険性があるので、予備知識なしに自宅で掃除をするのは結構危ないのです。
掃除は病院やトリマーさんなど本職の人に任せたほうが安心です。
もし治療目的で、おうちで掃除が必要な場合は、きっと主治医の先生が、安全な耳掃除の仕方を教えてくれるはずです。
イヌの外耳炎は慢性化するとかなりの確率で鼓膜が破れてしまうとの報告もあります。
何の病気もそうでしょうが、早期発見、早期治療が何よりも大事です。
自宅で聴診器を当てたり、体温を測ったりというわけには行かないかもしれませんが、ちょっとワンちゃんの耳の中をのぞいてみてください。
隠れた問題が見つかるかもしれません。
おやつやフードをたくさん挙げる、という愛情表現は非常に判りやすく、ワンちゃんに喜ばれるかもしれません。
でも、ちらっと耳を覗いてみて、大事なワンちゃんの健康を確認するというのもとても大事な愛情表現ではないでしょうか。
けしてワンちゃんには理解してもらえない、渋~い愛情表現です。