平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向(後編)
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2回に渡ってお送りしている、平成30年(2018年)の住宅ローン金利動向。前回の変動金利に引き続き、今回は長期固定金利の動向についてお送りします。
まず簡単な仕組みからです。長期固定金利は各銀行が債券市場という、国債を売買する市場金利を目安に金利設定します。
しかし、債券市場も市場ですから、有利に金利設定出来るときもあれば、そうでないときもあります。その代表的な指標となるのが、一番市場規模の大きい10年物の国債の値段です。そして、この値段の利回りを長期金利と呼ぶのが一般的です。
国債も債券ですが、債券というのは基本的に利回りが決まっているので、国債の値段が上昇すれば相対的に利回りは低下、下落すれば利回りは上昇ということになります。
そして、日本や世界の景気が良くなれば、国債よりも儲かる株式市場にお金が流れますので、国債の値段が下がり金利は上昇。景気が悪くなれば、国債の値段が上がり金利は低下します。
さらに、これ以外に国債の値段が変動する要因として、日本という国の信頼がなくなった場合、国債を持っていては危険ですから、国債が売られ金利が上昇します。(財政再建懸念など)
また、現在は日銀が長期金利の上昇を押さえ込むために、政府が発行した国債を日銀が買い入れる、買い入れオペを強化しています。
この結果、株価と長期金利との連動性が薄れ、長期金利の動向は日銀頼みが強まっている点には、注意する必要があります。
以上を踏まえて、平成30年(2018年)の長期固定金利の動向を占っていくと、同年4月に黒田総裁の続投が確実視されていることから、現在と同じような流れとなりそうです。
黒田総裁がもっとも重視しているのは、2%の物価上昇率が達成され景気がインフレ気味になることですが、ここまで株価や企業業績が回復しても2%の物価上昇率は未達のままです。
この原因として、日本の少子高齢社会という現実を直視していないのではないかと考えられます。昔であればインフレになっていた所、現在は将来不安が全世代にあり、全ての分野に渡って需要が供給を上回りインフレになるという構図は描ききれません。
これは民間エコノミストも同調しているのですが、日銀だけは先送りしながらも平成31年(2019年)には物価上昇率が2%に達するという姿勢を崩しません。
この姿勢が続く限り、日銀が国債を高値で買い取ってくれる日銀トレードが続き、長期金利は現在の水準を維持するものの、日銀は高値の国債をどんどん抱えることになります。
将来的に超長期金利の上昇を織り込む動きも出てくるかもしれませんが、現在の所は長期固定金利は横ばいの可能性がもっとも高いと考えています。
以上、2回に渡ってお送りしましたが、平成30年(2018年)も無理のない資金計画の範囲内で、この低金利を活用して頂けたらと思います。
沼田 順(1級FP技能士、宅地建物取引主任者、住宅ローンアドバイザー)
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