成澤 利幸(音楽家、打楽器奏者)- コラム「新型コロナウイルスと芸術について最近思うこと」 - 専門家プロファイル

成澤 利幸
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ナルサワ トシユキ
( 長野県 / 音楽家、打楽器奏者 )
成澤打楽器音楽教室 
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新型コロナウイルスと芸術について最近思うこと

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2020-05-31 01:12

 新型コロナウイルスによる緊急事態宣言が終了し自粛生活も少しずつ緩くなってきましたが、まだまだ安心はできない生活が続いています。コロナ以前の生活に戻れるのか、それとも以前の生活ではない新たな生活にシフトするのかまだまだ先は見えません。この間私は本番はとび、リハーサルもとび、レッスンもとびましたが、今自分がやるべきことが明確でしたのでこの期間についてはこれはこれで有意義な時間だったと思っています。

 自粛期間明けに向けての準備活動や社会情勢についての情報を集めることも行っていました。しかしながら、例えばPCR検査について専門家の意見を聞くと「積極的に行うべきだ。」と「やみくもに行っても医療崩壊を招くだけだ。」と両極が飛び交い、ただただ迷うことばかり。国会では検察庁法改正案についてツイッターで「♯検察庁法改正案に抗議します」のハッシュタグがついたツイートが500万件を超えたとか、有名人が声を上げたとか。口頭決済や議論なき解釈変更も不可解。多くの情報の中から正しいことを見つけることは大事ですが、情報量が多すぎて処理しきれないことが続いています。情報量も自分の能力に合った量にコントロールすることも必要なのだと感じています。


 映画界では「SAVE the CINENA  ミニシアターを救え!」存続の危機にある小規模映画館への支援を呼びかけるプロジェクトができ、署名サイトで賛同者を募集し国へ支援を求める要望書を提出しました。おこがましくも私も署名をさせていただきました。また、映画界に演劇界やライブハウス・クラブ界などが加わった「Save Our Space」プロジェクトが立ち上がり、各界の代表者が「文化芸術復興基金」の創設を求め国へ要望書を提出しました。

 世界に目を向けると、ドイツではメルケル首相が「連邦政府は芸術支援を優先順位リストの一番上に置いている。」  

https://bijutsutecho.com/magazine/news/headline/21933

グリュッタース文化相が「アーティストは必要不可欠であるだけでなく、生命維持に必要なのだ。特に今は。」  

https://tokushu.eiga-log.com/new/42501.html

と語り、即時に支援を行ったのです。メルケル首相の理路整然とした語り口は東ドイツで育ち、物理学者出身というのもあるかと思います。


 音楽家の役目の一つに教育があります。ここ最近、芸術は必要なのだと思ってもらえる人間を育てたいという気持ちが以前よりも強くなってきました。音楽を聴いていたら心が休まったとか、映画を見ていたら涙した(泣くという行為にはデトックス効果があるそうです)とか、舞台を見ていたら明日も頑張ろうと思ったとか、そんなことを体感した時に「芸術は私たちに必要なのだ。」と感じるのではでしょうか。演奏や演技を生で見るとホールの中の空気が変わり、過去を知り未来を知るというような時間さえ超越した瞬間に立ち会う、表現する喜びを感じる、そんな不思議な出来事にたくさん出会ってほしいのです。そのような経験をすれば少なくとも「金が無いから芸術に対する予算を削る。」だとか「音楽を聴いたって腹の足しにはならないからいらない。」なんて口にしない人間が育つと思います。


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