吉野 真人(医師)- Q&A回答「低体温&低血糖の可能性は?温めの半身浴+糖質制限などの工夫を」 - 専門家プロファイル

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日中の眠気について

心と体・医療健康 心と体の不調 2017/05/27 02:34

ネットで色々調べましたが該当するものが見つけられず投稿します。
仕事中眠くて仕方ありません。
睡眠時間は25:00〜26:00就寝し、7:30頃目覚めます。
夜中はさほど眠くならないのですが、日中の勤務時間中である10:00〜12:00、15:00〜17:00位の時間に眠くなりウトウトしだします。
睡眠時間が足りないからかと思い24:00に寝るのをしばらく続けましたが逆効果でいつもより眠気が強くて大変でした。

自分の好きなことをしてる時はその時間でも眠くならないのです。
やっぱり気の持ちようなのでしょうか。

以前は心療内科で落ち着く薬を処方してもらってましたが、1年ほど服薬はしてません。
また精神的なものがぶり返していないか心配です。
ふんわりした内容で分かりづらいかと思いますが、御回答をよろしくお願い申し上げます。

りんご。さん ( 東京都 / 女性 / 28歳 )

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医師(精神科)

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低体温&低血糖の可能性は?温めの半身浴+糖質制限などの工夫を

2017/06/23 17:49

日中の昼前および昼過ぎの時間帯に、決まって眠くなるパターンを繰り返している模様です。また具体的な記述はありませんが、心理的に不安定となる症状があり、心療内科で薬物療法を以前、受けておられたようです。

日中の強い眠気がある場合、先ず確認すべきことが「睡眠時間」と「睡眠の質」です。睡眠時間に関していうと、25時~26時すなわち午前1時~2時に就寝というのは、いささか遅すぎるような気がします。7時30分に起床とすると、6時間前後の睡眠時間となります。もちろん適正な睡眠時間には個人差がありますが、6時間前後の睡眠時間は、足りていない可能性が大きいと思われます。
ただ恐らく睡眠の長さ以上に重要なのは、睡眠の質です。24時すなわち午前0時に就寝しても眠気は解消せず、むしろ逆効果だったというのは、単に睡眠時間を延ばしても効果は薄い、という表れです。すなわち6~7時間ほど寝ても、充分に眠れていないという証拠かと思います。睡眠時間を充分に確保するだけでなく、ぐっすりと眠り、心身の疲れを解消することが何より大切なのです。

それでは夜間にぐっすり眠れていないとすれば、どのような理由が考えられるでしょうか。寝室の睡眠環境として、照明や音、寝具の質など様々な要因が関係してきます。睡眠の質を低下させている要因がないかどうか、点検してみる必要がありそうです。具体的には寝室が充分に暗くて静かか、枕の高さや硬さが自分に合っているか、などが点検ポイントとなります。
一方で特に若い方に多く見受けられるのが、就寝直前までスマホやテレビ、ゲーム機などを見つめているケースです。ディスプレイから発せられる光などの刺激が、良質な睡眠を妨げている事は少なくありません。とりわけ青系統の光が脳への強い刺激になるとされています。実際に不眠症の主要な原因として、就寝前のスマホ作業などが各種の研究で必ず上位にカウントされます。

さらに「体の冷え」も原因として考えられます。人間の体温は36.5℃に設定されていますが、最近は35℃台あるいは34℃台の方が増えています。そのような低体温の状態では、代謝が低下し痩せにくい、免疫力が低下し風邪に罹りやすくなる、など様々な健康上の弊害が生じますが、同時に寝つきが悪い、眠りが浅い、といった不眠傾向の原因ともなり得るのです。
体温が低いと、なぜ眠れなくなるのでしょうか。我々は眠りにつく前後で、徐々に体温が低下します。言い換えると、体温が低下していく過程で眠気を感じ、入眠するのです。ところが元々体温が低い状態であれば、これ以上体温が低下する余地がなく、むしろ体温を上げようとする作用が働きます。その結果、充分な眠気が発生せずに不眠傾向となってしまうのです。

それと並んで大切な要素が「栄養バランス」です。不眠傾向の方や、憂うつ感などメンタル不調に悩む方によく見受けられる栄養面の障害として、ビタミンB群欠乏や鉄欠乏、亜鉛欠乏などが挙げられます。これらの微量栄養素が欠乏すると様々な症状が現れますが、出現頻度の高い症状の一つに精神症状があります。憂うつ感、イライラ感、不眠、倦怠感、集中力の低下などの症状が、かなりの高確率で発生します。
ビタミンB群などが欠乏すると、なぜ不眠やメンタル不調の症状が現れるのでしょうか。ポイントの一つにセロトニンの不調があります。セロトニンは神経伝達物質の一つで、心理状態を安定させる等の作用があります。うつ病ではセロトニンが不足することが分かっています。セロトニンを合成するためにはアミノ酸のほか、ビタミンB群やビタミンC、鉄などの成分が必要なため、これらが不足するとセロトニン欠乏に陥るのです。

また血糖値の乱高下もメンタル不調や不眠に繋がります。糖質の多い食事をすると血糖値が急上昇しますが、すると膵臓からインスリンが多量に分泌され、血糖値が反動で急降下します。個人差はありますが、血糖値が急に低下した場面でイライラ感や不安感、倦怠感や強い眠気などが生じやすくなります。また就寝前後や睡眠中に反応性の低血糖となれば、不眠を招きやすくなります。
お話の中で午前の10~12時、それに午後の15~17時というのは、実は反応性低血糖が起きやすい時間帯なのです。すなわち朝食を例えば8時に摂ったとすると、食後の血糖上昇に続いて9時から11時頃にかけて反応性の低血糖となり、人によっては強い眠気が生じます。同様に昼食を13時に摂れば、15時前後に反応性低血糖に伴う強い眠気が生じやすくなります。

そのようなビタミン・ミネラルの欠乏、それに反応性低血糖を起こさないような食生活上の工夫はないものでしょうか。先ず気をつけたいことが「糖質」の摂り過ぎです。お菓子やパン、めん類など糖質の多い食品を多食すると、上記の如く反応性低血糖から不眠やメンタル不調症状を招きやすくなります。そればかりでなくビタミンB群や鉄などの欠乏を増悪させ、不眠を含むメンタル不調に拍車をかけます。
ビタミンB群や鉄、亜鉛、それに良質なタンパク質を充分に補給するためには、たっぷりの野菜や果物、きのこ類、海藻類、豆類などを摂取し、肉や魚などのタンパク源も適度に食べる事が大切です。一言でいうと「主食」を控えめとし「おかず」をたくさん食べる、という食生活です。そして「間食」はお菓子など糖質主体の食品は極力控え、ナッツ類など糖質の少ない食品を主体とすることが望まれます。

前述の低体温への対策に関しては、「お風呂」の活用がお勧めです。体を芯から温め体温を向上させるためには、38~39℃という若干温めのお湯に、就寝より少し前に「半身浴」でゆったりと浸かることが有効です。40℃以上の熱い湯は、長い間浸かっていられない事と、刺激となって血圧上昇や不眠を招くため、お勧めできません。冷え性の方は、44℃前後の少し熱い湯で「手浴」や「足浴」を併用すると良いでしょう。
また体温を上げることや良眠を得るためには、「運動」の効果も疎かにできません。運動をすると筋肉内の温度が上がり、また代謝も活発となるため、体温も向上しやすくなります。またストレス発散などの効果も期待でき、不眠や不安感、憂うつ感などのメンタル不調の改善が見込まれます。また敢えて眠くなる時間帯に運動を行なうのも良いアイデアです。運動は継続が大切なため、無理ないペースで行なうことが肝要です。

夜間の過ごし方も睡眠に影響を与えます。上記のような温めの半身浴と並んで、ゆったりとした音楽を聴く、ラベンダーなどのアロマを流す、少し薄暗い照明にして読書をする、などの工夫がお勧めです。また暑い時期には冷房の温度調整も重要なポイントです。暑すぎては体温が下がらないため寝つきが悪く、また寒すぎては刺激になってなかなか眠れません。ちょうど良い温度設定も良眠を得るコツの一つとなります。

蒲田よしのクリニック(内科)
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