吉野 真人(医師)- Q&A回答「代謝レベル低下か?タンパク質摂取&運動で「痩せやすい体」に!」 - 専門家プロファイル

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体重は減らしたくないけど・・・

美容・ファッション ダイエット 2017/05/19 20:38

子供の頃からずっと普通に食べていても痩せていましたが、8年前に夫の出向に伴って地方都市に引越してから体重が増え始めました。引越直前の41kgが5か月後には47kgになっていました。1年程で地元(東京)に戻りましたが体重は減らず、47前後をキープしていました。そして2年前、夫の仕事都合で前回とは違う県に引越したらまた体重が増えだしました。現在49~50kg位です。身長は162cmなのでBMI的にも見た目からも太っている感じではありませんが、体脂肪率は29%でギリギリ標準、そして何よりも「下腹ポッコリ」です。去年まで大丈夫だったジーンズが少々きつくなり、また買い替えるのはイヤなのでさすがにダイエットしたいのですが、痩せていた頃の経験から体重が45kgより減ると途端に疲れ易くなります。体重を減らさずにお腹だけ引っ込める方法はないでしょうか。夫が定年間近で金銭的に決して余裕があるわけではないのでジム等へ行くのはためらいがあります。自宅で何とかできれば・・・などとムシのいい事を考えていますが、どうかよろしくお願いします。

千春さん ( 長野県 / 女性 / 51歳 )

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医師(精神科)

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代謝レベル低下か?タンパク質摂取&運動で「痩せやすい体」に!

2017/05/30 17:45
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転勤・引っ越しのたびに段階的に体重が増え、41キロから49キロと、約2割という大幅な体重増加に見舞われたご様子です。身長から計算した標準体重は55キロ前後なので、数字上はいかにも肥満という印象は薄いのですが、体形的に下腹ポッコリで体脂肪率29%というのは俗にいう「隠れ肥満」、すなわち体脂肪が多く筋肉の少ないパターンとなっているものと推測できます。
たとえ体脂肪率が高くとも、体重そのものが安定し、体調も良好ならば問題は少ないかと思います。しかしながら確実に体重が増えてきていること、痩せると疲れやすくなるなど体調面の不安定性があること、ウエストが太くなってジーンズがきつくなるなど体形面も課題があること等から、何らかの対策が必要であると考えられます。

さて体重が増えてきている原因は何でしょうか。体脂肪率が高く体重そのものはさほど多くない「隠れ肥満」の方によく見受けられる傾向として、代謝レベルが低下している、という点があります。すなわち、そんなにたくさん食べている訳でもないのに、何故かいつの間にジワジワと太ってきた、などというパターンです。
一言でいうと、たいへん「燃費の良い」体となってしまっているのです。つまり少ないカロリー消費で多くの活動ができる状態です。これは食料が少なく飢餓の状態ならば生存にとって有利な条件ですが、現代のような飽食の時代には一転して不利な条件となってしまいます。普通に食べているつもりなのに、結果的に摂取カロリーが余ってしまい、皮下脂肪や内臓脂肪としてしっかり蓄積されてしまうのです。

代謝レベルが低い状態が続くと得てして、いわゆる「ヨーヨーダイエット」に陥ってしまうことが少なくありません。ヨーヨーダイエットとは、おもちゃのヨーヨーが上下に動くように、体重が大幅に増えたり減ったりを繰り返す病的な体重変化です。
すなわち代謝が低くて太りやすい体質のために、少し食べ過ぎると簡単に太ってしまいますが、慌てて過度のダイエットに走り、今度は必要以上に痩せてしまいます。すると空腹感や様々な体調不良に耐えられず、一転して過食傾向となり、リバウンドして太ってしまう。その繰り返しというパターンです。

お話に述べられているように、体重が大幅に減った場合は倦怠感などの体調不良に見舞われることが多々あります。これはカロリー不足という側面もありますが、それ以上に大きい原因はビタミンB群や亜鉛、鉄などの微量栄養素、それにタンパク質など大切な栄養素の不足です。体重を減らすに充分なほど食事の量が目に見えて減れば、これらの栄養素の摂取も並行して減少するのは、ある意味で当然の事といえます。
ビタミンやミネラル、タンパク質の不足や欠乏による体調不良は、我々が考えるよりも多彩かつ深刻なものです。例えばビタミンB群が不足すると糖質代謝などに支障を来たし、うつ症状や倦怠感、不眠、音などへの過敏、口内炎などが生じやすくなります。一方で鉄が不足すると貧血傾向となり、息切れや動悸、イライラ感、体の怠さ、肌荒れ、爪が割れやすい、などの見舞われやすくなります。
また亜鉛が不足するとタンパク代謝などに齟齬が生じ、肌荒れや味覚障害、風邪をひきやすい、胃腸障害、不眠症など多様な症状を引き起こしがちになります。さらにタンパク質が不足すると臓器や組織を構成する各種タンパク質が欠乏を起こし、傷が治りにくい、肌荒れ、疲労の蓄積、消化酵素の不足に伴う消化不良など、実に多様な体調不良を招きます。

さてそれでは、体調を維持しつつ体重や体脂肪率を適正なレベルに移行させるためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。それには先に別のQ&Aでも説明した事ですが、適切な食材をしっかり食べる事と、適度に運動する事の2点が基本となります。
「しっかり食べる」と太ってしまうのではないかと懸念する向きもありますが、それは太りやすい不適切な食品を食べてしまうからです。太らない、適切な食品を摂取すれば太ることはないし、むしろ体調の改善に結びつくのです。また特に「お腹を引っ込めたい」など、体型を改善したいのであれば、なおさら運動は必要な事項です。食事の工夫だけでは体重のコントロールはある程度できても、体型を改善させるのは無理な話です。

それでは具体的に、どのような食事が望ましいのでしょうか。先に「太らない適切な食品」と前述しましたが、それはどのような食品なのでしょうか。それはビタミンやミネラルなどの微量栄養素、あるいはタンパク質が豊富で、血糖値が上がりにくい各種の食品です。大雑把に言うと、野菜や果物、豆類、海藻類、きのこ類、魚介類、そして肉などの食品群です。いわば「おかず」になる数々の食材に当たります。
これらの食材にはタンパク質や脂質、食物線維、ビタミン、ミネラル類が各々の比率で含まれていますが、糖質の一種であるブドウ糖は多量に含んでいないため、よほど過量にならない限り、血糖値の上昇も肥満につながる事も原則としてありません。ビタミンやミネラルを充分に補給すれば体調の維持しやすくなり、またタンパク質を充分に補給することで、筋肉量を維持し痩せやすい体質となります。

その一方で、ご飯やパン、めん類といった「主食」すなわち炭水化物は、どのように考えれば良いのでしょうか。これらは主食というだけあって、我々の食卓に於ける存在感はとても大きいのですが、栄養素に占める糖質の割合がたいへん大きいため、体重を減らしたい、体形を整えたい方にとっては食べ過ぎに要注意の食品でもあります。また同じく糖質の多い砂糖を用いたお菓子などの食品は、それ以上に体重管理の大敵です。
糖質の多い食材を取り過ぎると、体調の維持にとっても気がかりな事があります。それはビタミンB群や亜鉛などの不足です。糖質を代謝、利用するためには補酵素としてのビタミンB群や亜鉛の助けを借りなければならないため、糖質を過剰に摂取すると、慢性的にビタミンB群や亜鉛などが不足傾向となります。その結果、上述したようなビタミンB群や亜鉛などの不足症状が出現しやすくなります。

食事と並んで「運動」も大切です。お腹を引き締め、体重をコントロールするには、脂肪を燃焼させる有酸素運動と、筋肉を充実させる無酸素運動を組み合わせる事が大切です。有酸素運動、無酸素運動といっても難しく考える必要はありません。歩く、走る、泳ぐ、自転車こぎ等の日常動作に、スクワットなどの筋トレを組み合わせて行なえば良いのです。無理ない範囲で、継続して取り組む事が肝要です。
効率よく安全に運動する、という目的でジムなどに加入するのも有効な方法ですが、出費を抑えたい、というのであれば、自宅や公園などで行なえば良いでしょう。一例としては、自宅や公園でストレッチ体操した後、路上でウォーキングやランニングを行ないます。戻ってきたらスクワットやプッシュアップ、バーベル挙げなどの筋トレに励みます。余裕があったらジムやプールをのぞいてみても良いでしょう。

蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
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評価・お礼

千春 さん

2017/06/02 19:46

ダイエットしたい、体重はキープしたい、ジムはちょっと、などというわがままな悩みにご回答くださってありがとうございます。

読んでいて思い出した事があるのですが、8年前に引越した頃からお菓子を食べることが多くなったのです。それ以前は甘い物に特に執着はなく、また子供の頃からおかずは多くても普通に食べられるのにご飯やパン等の主食はあまり食べられず、それは今も続いています。年齢的に代謝が落ち始めるタイミングでお菓子の分糖質の摂取量が増えたのでこうなった、と思いました。まずはお菓子を減らすことからですね・・・。

運動に関してはこれも子供の頃からですが、トラウマレベルのひどい運動オンチで、学校の体育授業と縁がなくなってからは運動らしい運動はしていません。でも薦めていただいた運動の中で歩くことは昔から全く苦にならず、スクワットも一応できるので、この辺りから始めてみます。これで効果が薄ければ下手ながらもとりあえずできる自転車辺りを第2弾に。

今はキツキツ・ギリギリでなんとかはいているウエスト67cmのジーンズが余裕ではけるようになることを目標に頑張ります。

吉野 真人

2017/06/07 19:38

過分なご評価まことに有難うございます。「体調を維持しつつ体重を適正にコントロールしたい」というのは、決してわがままな願望ではないことが、私の回答やコラムを読んでいただければ、充分ご理解いただけるものと思います。正しい方法で継続して取り組めば、いつの日か必ずや達成できるものと考えております。

転勤などに伴う引っ越しを契機に、体重が増えたというエピソードは、私も時々耳にすることがある健康問題です。引っ越しすると、なぜ太ってしまうのでしょうか。

一つには環境の変化によりストレスがかかり、甘いものに手が伸びてしまう、というパターンです。つまり一種の「ストレス太り」の典型です。
次に引っ越しに伴う荷造り作業や移動、転居先での荷ほどき作業、それに各種手続きなどのため、一時的にせよ炊事にかける余裕がなくなってしまうのも現実です。そのため食事を簡単に済ませてしまう傾向となり、人によっては菓子パンやおにぎり、お菓子などの摂取量が多くなることがあります。そのため気がついたら太っていた、という結果になりがちです。

さらに普段から運動習慣があった人であっても、引っ越しに伴う多忙な状態のために、いつの間にか運動から遠ざかっていた、という事は往々にしてあります。ジムなどに加入していた場合は特に、転居先で新たにジムに加入するまでの間、一時的な運動不足によって、太りやすくなる要素は意外とあるものです。

今後また何年かしたら転勤、引っ越しということもあろうかと思いますので、今のうちに対策を考えておく方が良いかと思います。食生活に関しては、転居先の地物の野菜などを見つけ、早めに現地の産物になじむことがお勧めです。野菜をたっぷり食べるだけでも、大きな違いがあります。また地理感覚を養う意味も込めて、あちこち歩き回るのもダイエット効果を含め一石二鳥かと思います。

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