野菜も肉も食べてガンに勝とう!ガンと食事の新しい考え方(3)
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(続き)・・翻って日本人の食生活はどうでしょうか。米国人によって「和食」が評価されていると上述しましたが、それは現代の日本人の食事ではなく、「元禄時代以前の日本食」とされている点が特徴的です。すなわち元禄以前の日本人は、玄米を主体として野菜や海藻類、キノコ類、豆類を豊富に食べ、少量の魚介類を食べていたことが健康の秘訣だというのです。現代風にいうと、いわゆる「粗食」とされるような食生活です。
現代日本人の食生活、特に若い世代の食生活は、米国人が評価するようなものとはかけ離れているのが現状です。すなわちご飯は玄米ではなく白米、ご飯よりもパンを好み、しかも精製した小麦を用いた真っ白いパンです。砂糖のたっぷり入ったお菓子や飲料水に取り囲まれ、ファストフードや各種加工食品、インスタント食品などのオンパレードです。そのような食事はある意味で、従来の米国人の食事以上に不健康といえます。
その一方で、野菜や果物を食べ始めた米国人とは対照的に、日本人の野菜や果物の消費量は減り続けています。実際に1990年代に、野菜の消費量は日米で逆転しました。野菜や果物に含まれる多量のビタミン、ミネラル、酵素類、抗酸化物質などの摂取量が減少し、免疫力や抗酸化力が著しく低下していることは確実です。そのためにガンだけでなく、アレルギーや生活習慣病などの増加の一因となっています。
野菜などの摂取量が減っていることに加えて、野菜自体の品質の問題も無視できません。現代農業は化学肥料と農薬を多用して成り立っていますが、その影響もあり野菜に含まれる各種の栄養素が、ここ数十年の間に激減しています。例えばホウレン草などに含まれる鉄分は50年前の約10分の1程度にまで減ってしまいました。そのために必要な栄養素を摂るためには、それこそ洗面器1杯もの野菜を食べなければならないほどです。
調理法にも落とし穴があります。現代の食卓には鍋や釜、フライパン、焼き網、電子レンジなど加熱調理する器具が揃っていますが、これによって食べられる食材の種類が劇的に増えました。そのために食卓は実に豊かになりましたが、半面で加熱した食品に過度に依存することになり、「生」で食べる機会が減りました。その結果、ビタミンや酵素、抗酸化物質の多くが熱によって破壊され、栄養的には大きな問題が生じています。
それに加えて「油」にも注意しなければなりません。健康ブームの影響もあり、植物油ならばヘルシーだとする風潮がありますが、植物油はもともと酸化しやすい油です。古くなった揚げ油や揚げ物の多食は、体内で過酸化脂質の発生を促し、発ガン性をもたらします。またマーガリンなどのトランス脂肪酸は極めて酸化作用が強く、動脈硬化促進作用や発ガン性が認められ、欧米などでは規制の動きが広がっています・・(続く)