毎日レモン50個分も必要!現代人はなぜ「ビタミンC欠乏症」なのか?
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(続き)・・今朝のニュースで「ボストンマラソンで爆発事故」との報道を目にして、寝ぼけ眼に冷水を浴びせられたような気分になりました。米国ボストンで行われたマラソンのゴール付近で爆弾の爆発があり、多くの死傷者が出た模様です。
まだ犯人は見つかっておらず、犯行声明も出ていませんが、当局などからはテロではないかとの疑惑が出ています。日本人ランナーも多数出場したそうですが、安否がたいへん気遣われるところです。被害に遭われた方に対し心よりお見舞い申し上げます。
ボストンマラソンは1897年にから開催されている伝統のある大会で、これまでの開催数は数ある大会の中で最多を誇ります。参加者数も指折りの多さです。そのような大会を地獄絵に変えた犯人の狙いは、どのようなものだったのでしょうか。
ボストンではありませんが、私は1回だけ海外のマラソン大会に出場したことがあります。3年前の2010年12月に行なわれた「ホノルルマラソン」で、蒲田よしのクリニックを開業する約1年前です。自分なりに入念に準備を重ねて出場したのを、今でも鮮明に憶えています。
半年前から走り込みや筋力トレーニングなどの練習を続け、諏訪湖畔で行なわれた1泊の合宿練習にも参加し、直前の食事にもかなり気を遣いました。
結果は目標の5時間台をやや上回る(下回る?)タイムの6時間2分台でした。練習中から痛めていた左膝がレース中盤から痛み出して、後半は歩いたり走ったりを繰り返し、かなり苦しみましたが何とか完走しました。ゴールした瞬間の感動は、実際に走った本人でないと表現できないほどです。
このレース経験からは多くのことを学びましたが、その中でも体調管理、とりわけ「栄養バランス」の重要性を痛感しました。通常の生活でももちろん食事や栄養管理は大切なのですが、マラソンという一種の究極の状況では、特に重要性を増してきます。
私は職業柄、食事や栄養バランスには人一倍神経を使っていると自負しています。ところがハードな練習が続くと「燃料切れ」の兆候が現われ、あわてて補給することを迫られます。練習やレースでは、日常生活よりも多くの栄養素を必要とするのです。
この場合、枯渇してしまう危険性の特に高い栄養素は、実は糖質や脂質などの主要栄養素ではありません。もちろん糖質なども大切なのですが、それよりも早く、高確率で枯渇に陥る栄養素とは微量栄養素、中でも「ビタミン」です。
私はランニングの練習後に、ミカンやリンゴなどの「果物」を無性に食べたくなる感覚に幾度となく襲われました。単に食べたいというだけでなく、まさに「渇望」と表現できるような強烈な食欲です。果物と同時に生野菜も非常に欲しくなり、サラダやスティック野菜などでそれこそガツガツ食べました。
果物や生野菜には体に必要な栄養素が多数含まれていますが、重要な栄養素の代表格として「ビタミンC」が挙げられます。ビタミンB群やビタミンDなども必要性が高いのですが、激しい運動で一番不足しやすい栄養素は、何といってもビタミンCです。
このような経験はホノルルマラソンが初めてではありません。中学、高校時代にはバレーボール部に所属し、セッターやアタッカーを務めましたが、試合前の集中練習などで疲れた時には、やはり果物をむさぼり食べたことを今でもよく憶えています。
前回までのコラムで、我々現代人はビタミンCの欠乏に陥りやすい状況にあり、充分量のビタミンCを摂取するには、それこそ洗面器1杯分もの野菜を毎日のように食べなければ間に合わない、と述べました。
マラソンのような極限の状態でなくとも、我々は慢性的な「ビタミンC欠乏症」に晒されているといえます。それは継続的なストレスや運動不足、不規則な生活、環境汚染、睡眠不足、タバコ、偏食などの要因とともに、野菜などに含まれる栄養価が大きく低下していることも要因として挙げられます。
厚労省の推奨する1日のビタミンC摂取量は100mgとされますが、これは壊血病にならないための最低限の量です。日々を健康に過ごし、病気にならないためには、最低でも300~400mgは必要とされています。
常時ストレスや体調不良に見舞われている人、持病のある人、そして激しいスポーツをする人などは、さらにそれより多量の1日1~2gは摂った方が良いとされています。しかしそのくらいの量のビタミンCを食事からだけで摂取するのは、不可能ではないにせよ困難というものです。
例えばビタミンC1gをレモンの個数に換算すると、レモン1個に含まれるビタミンCが平均20mgであるため、1日に50個ものレモンを食べなければならないという計算になるのです。これは現実には無理な話です。
そこで活用したいのが「サプリメント」です。特にビタミンCの不足しやすい人の場合は、可能な限り日常の食事でビタミンCを摂取するのと並行して、足りない分をサプリメントで補うというスタンスが現実的ではないかと考えられます。
但しサプリメントには様々な種類があり、どれを選んだら良いのか迷うところです。よく「ビタミンCのサプリを飲んだけれど、効果がはっきりしない」などの感想が聞かれます。少しでも有効なサプリメントの選び方はないものでしょうか。
ビタミンCの場合は、腸管からの「吸収率」の問題が横たわっています。ビタミンCは単体では、腸粘膜からの吸収率が極端に低いのです。従ってせっかく内服したビタミンCの大半が吸収されず、便として排出されてしまうのです。
そこで吸収率を飛躍的に向上させたビタミンC製剤も登場してきました・・(続く)
蒲田よしのクリニック(内科)
吉野 真人
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