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【金融円滑化法 延長に?】-自見金融相の発言から
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こんにちは、東京港区の公認会計士 森 滋昭です。
中小企業金融円滑化法は、1度延長され残り7カ月、来年3月で期限が切れる予定です。
しかし、金融相に再任された自見金融相は2日の記者会見で、
「資金繰りの現状を見ながら総合的に判断したい」と述べ、中小企業金融円滑化法の再延長に含みを持たせた、そうです。
2009年末から今年6月末までに、金利減免や返済猶予で115万3830件も対応していますので、自見金融相の発言は、多くの中小企業にとって、大きな発言です。
ところで、震災関連の倒産が、8月末までの約5ヶ月半で、304件もあったそうです。
地区別には、
・関東地区:116件
・東北地区:55件
と、東北地区より関東地区の方が多くなっています。
実際、今週、千葉や茨城の金融機関の方から話を聞いたところ、千葉や茨城の中でも、特に海岸部は、ホテルなどの観光業や漁業が一切だめだそうです。
例えば、ホテルなどは夏になっても需要が回復せず、売上が前年の70%減などと散々な状況になっているそうです。
しかも、東北地区が手形決済の特例措置等により資金繰りがついています。
対して、千葉や茨城は、風評被害のような理由で売上が減少しているため、国などから十分な支援を受けられないようです。
いずれにせよ、東北だけではなく、茨城・千葉などは、津波や原発による特殊な事情を抱え、なんらかの特別な支援が継続的に必要かもしれません。
ただ一般的な実態としては、金融円滑化法により、隠れ不良債権が増加しているだけのようです。
金融円滑化法による返済猶予後の倒産が、
・2010年 49件 306億円
・2011年 83件 648億円(1-8月期)
と、今年大きく増加しています。
本来、リーマンショック後、金融円滑化法で借入金の返済を猶予している間に、経営自体を改善することになっていました。
しかし、現実は、経営が改善されず、倒産した会社が増えているようです。
倒産しなくとも、多くの企業は経営改善されず、単に銀行の不良債権を増やしているのが実態ではないでしょうか?
なお、日経新聞によると、3月末の主要銀行の不良債権率はわずか1.8%です。
つまり、円滑化法による不良債権は、“隠れ”不良債権として膨らんでいるようです。
一説では、こうした隠れ不良債権が40・50兆円になるではないかといった話も聞きました。
なにやら、バブルの後のようですね。
以前、金融庁は、倒産しているような企業を活かしていてもしょうがないので、円滑化法の来年2012年3月末の再延長は認めないようだ、といった話を聞き、 金融円滑化法も、あと、9ヶ月と題して、ブログにも書きました。
しかし、任期満了の衆議院の総選挙を2013年に控え、今のまま経済環境が回復しないと、円滑化法の再延長があるのかもしれません。
自見金融相の発言は、そういうことでしょうか。
ただし、私達が、円滑化法の延長を前提に経営をするかどうは、というのは全く別の問題ですね。
みなさんの取引先でも、実は、円滑化法の申請をしていてるところはあるかもしれません。
こうした万が一のために、余裕資金の準備や与信管理の見直し、といったリスク管理を今から行う必要があるかもしれませんね。
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