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【臨時(復興)増税】 えっ!B型肝炎訴訟で、固定資産税が増税?
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こんにちは、東京港区の公認会計士 森 滋昭です。
現在、政府税調で検討されている復興増税。
従来、主に所得税と法人税で10兆円規模の増税が検討されていました。
先日、8月7日に行われた税制調査会では、13兆円にのぼる復興財源について、法人税、所得税だけでは負担が大きいことから、地方税である“固定資産税”も増税することが議論されました。
固定資産税の税収は、実は、2011年の計画で8.9兆円と、法人税と同程度の大きな税です。
(2011年度予算で、法人税は7.8兆円)
そのため、固定資産の増税で、復興費用の多くを賄うことができます。
一方で、固定資産税は、地方税です。
地方税は、各地方自治体の住民へのサービスの対価であり、国が一方的に被災地支援の負担を、直接は関係のない各地域に負担させる訳にはいかない、という議論もあります。
いずれにせよ、こうした議論の流れから、今回の復興増税に限らず、将来、消費税等の増税で不足する分については、まわり回って地方税である固定資産税も、増税されていくのではないでしょうか。
今後、固定資産税の増税も見込まれる場合、
・個人の住宅だけではなく、
・企業、特に不動産を多く保有している会社にとっては、
大きな負担となりますね。
では、固定資産税はどうやって算出されているかというと、
土地、家屋、償却資産の評価額 (1月1日所有分) × 標準税率1.4% = 税額
という計算で税額が算出されています。
そして、賦課課税方式と言われるように、市町村からの納税通知に従って、そのまま支払っている人が多いかと思います。
しかし、今後、固定資産税も増税されていくのであれば、
例えば、
・固定資産税が低くなるように土地の分筆を行う
・新築の建物の引き渡しを1月2日以降とし、1年分の固定資産税を節約する
といった固定資産税の節税も、今より重要になってきます。
ところで、当初、東日本大震災からの復興のために、10兆円規模の“臨時復興増税”を行う、ということでした。
しかし、今回の臨時増税の対象は、
・東日本大震災の復興費用: 10兆円
・11年度の基礎年金 国庫負担の不足分: 2.5兆円
・B型肝炎訴訟の和解金の一部: 0.7兆円
となっており、いつの間にか東日本大震災だけではなく、B型肝炎訴訟まで紛れ込んだ、13兆円規模の増税となっています。
“臨時復興増税”から“復興”の字が取れ、”臨時増税”となり、そのうち“臨時”もとれて、ただの“増税”にならなければいいですね。
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