
間山 進也
マヤマ シンヤ美術品の複製(?)にも著作権等が存在するのか?
法人・ビジネス 特許・商標・著作権 2008/10/02 20:01 あちこちで調べてみたのですが、いまいちわからないので教えていただきたいのです。
ある著名な芸術家(亡くなっています)が作った作品をもっと大きくして銅像にして公共の
場に展示してある場合、芸術家が実際に銅像を建てたわけでなくても、著作権のようなもの
は存在するのですか?
それとも公共の場にあるということでそれが写った写真をWEB等に公表しても問題にはな
らないのでしょうか?
ちなみにその銅像は観光客も多い屋外にあり、写真撮影に関しての規制はされていません。
補足
2008/10/02 20:01早速の回答をいただきありがとうございます。
読ませていただいた限りでは私的なHPでは写真を載せても大丈夫な様ですが、今回はあるフォトコンテストの主催会社のHPに審査結果として載る事になります。主に審査結果発表の場で使われる程度ですが、注意事項として、場合によってはポスターや何らかの媒体においてその写真を使用する可能性もあるとされています。写真そのもので利益を得ることがなくても、やはりこういう場合も商用のうちに入るのでしょうか?
Kurichanさん ( 栃木県 / 女性 / 30歳 )
美術品の複製(?)にも著作権等が存在する?
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(1)著名な芸術家が作った作品には、著作権が存在すると考えた方が良いと思います。
(2)ただし、著作権は、著作者の死後、50年を経過するまで存続するとされているので、古い著作物の著作権はすでに消滅しているかも知れません(著作権法第51条)。
(3)当該先行著作物の作品を大きくして銅像にした場合、先行著作物がどのようなものであるかは解りませんが、その銅像は、大きくして銅像としたときに創作された箇所があるのなら2次的著作物と判断される可能性が高いと思います(キューピー事件:東京高裁平成11年(ネ)第6345号)。下記URIをご参照下さい。出展は、裁判所ホームページです。
http://www.courts.go.jp/hanrei/pdf/008E710F3B2B7DFB49256A92002770BE.pdf
(4)2次的著作物に創作性があれば、2次的著作物について著作権が発生していると考えるべきではないでしょうか。
(5)また、その銅像を写真に撮影すれば、写真に創作性があればまた、写真に著作権は発生することになり、公共の場所にある美術品の写真撮影自体については、その自由は保護されるべきと考えられているみたいです(レオナール・藤田展事件無体例集21巻3号747頁)。
(6)さらに、進んで、私的に撮影した当該写真を「銅像についての情報の提示」として、Webページに掲載する場合、どう考えるかですが、仮に源著作権、2次的著作権があった場合にでも、例えば旅行を趣味としている人が、ブログに紀行文を書くときに、撮影した写真を掲載できないというのもなんだか不都合な様な気もします。
(7)ただ、私的な紀行文などに掲載する場合であっても、念のため、撮影した日付とか、場所とか、作品名とかを記載し、引用したことを明記する方が良いかと思います。
(8)一方、商業用ブログ、Webページに掲載する場合(1)〜(7)とは異なり、著作権の存在を充分に確認し、許可や許諾を受けておくべきではないでしょうか。
補足
追記にて、のご質問についてお答えさせていただきます。
(1)「今回はあるフォトコンテストの主催会社のHPに審査結果として載る事になります。…(中略)…に審査結果発表の場で使われる程度ですが、注意事項として、場合によってはポスターや何らかの媒体においてその写真を使用する可能性もあるとされています」とのことです。
(2)ご質問からすれば以下のように考えることができそうです。
(i)撮影された写真がフォトコンテストに応募できる程度のもの、とのことなので、写真自体に著作権が発生している可能性が高い、
(ii)この場合、写真の著作者は、Kurichanさんということになり、写真の利用は原則自由と考えられる、
(iii)そして、公共の場所にある美術品の写真撮影自体については、その自由は保護されるべき、
(iv)一方、撮影した写真の著作権者が当該写真をどのように利用するかは、著作権者の権利、
(v)したがって、写真を著作権者がコンテストに出展することは、商用、または商用でないにかかわらず、Kurichanさんが自由に行うことができるはず、
(vi)そして、写真がHPの審査結果として公表される場合、Kurichanさんと、コンテスト主催者との間の著作権の問題と考えられる、
ことです。
(3)以上の点から、コンテストへの応募と同時に著作権の譲渡なども応募要件に含まれているかも知れません。ご確認下さい。
(4)なお、(3)の場合以外にも、写真の著作物は、展示権を害しない範囲であれば、作品の解説、紹介などを小冊子に掲載できます。このため、コンテスト主催者は、審査結果として著作権の譲渡などを行わなくとも、HPに写真を掲載することもできる、と考えて良いのではないかと思います。
(5)デジタルカメラの普及によって、写真は、RGB→CMYK系へのデータ変換も伴うことなく、文字通り「そっくりそのまま」HPに掲載されるので、これまでにない注意も必要となりそうです。
評価・お礼

Kurichan さん
詳しくご説明いただきありがとうございました。
大変参考になりました。