大澤 眞知子
オオサワ マチコ語彙や文法はきっちりできて、英文解釈も十分できると
スキル・資格 英語 2015/03/08 15:25語彙や文法はきっちりできて、英文解釈も十分できると
いう状態でのご質問とさせてください。
英語を日本語を介さず英語のまま読むようになるには、
スラッシュリィーディングで前から区切って日本語で訳
して意味をとったあと、その文章を音読することですと
よく問題集やウェブサイトに書いてあります。
このことについて質問です。
以下箇条書きでございますが、ご了承ください。
1.音読はスラッシュごとにするんですか。
また、なれたら、スラッシュなしで音読するんですか。
2.英文の意味が分かっていない文章を音読しても無駄
だということを英語の速読について説明してくださる教
材やウェブサイトに書いてありました。
英文をスラッシュを区切って前からきっちりやくして、意味が分かった後、音読するんですが、音読のときに本当に英語を日本語を介さず意味をとって読めているのかが分かりません。
結局音読がただの発声練習になっているだけになってしまっているのかと不安でなりません。
本当にこのままこの方法のままで英語を日本語に介さずに読めるようになるんでしょうか。
runaEIENNさん ( 徳島県 / 男性 / 18歳 )
英語を日本語を介さずに理解出来るようになるためには
「本当にスラッシュリーディングを続けていると、英語を日本語を介さずに読めるようになるんでしょうか。」
のご質問への回答は:
残念ながら、「いいえ、なりません。」ですね。
ある高校の英語授業を見学する機会があった時に、その「スラッシュリーディング」とやらをやっていました。
SF映画を見ているように不気味でした。
どんな科学的根拠に基づいてやってるのだろうと、不思議だったのを覚えています。
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では、どうすれば「英語を英語で理解出来るようになるのか」:
またしても残念ながら、「この方法!」などという短絡的な魔法の方法は存在しません。
教材販売サイトや、宣伝文句、英語教育に携わっている方などが、色々な方法を提唱していますね。
そのほとんどが、「こうすれば英語が出来る!」的な、詐欺まがいの方法をうたっています。
もし、その中で本当に効果のある方法があるとしたら、現在の日本人の大半は英語の達人になっているはずだと思います。
しかし、現状は?
世界の中でも指折り数えなければいけないほど、英語の出来ない国民として悪名高いです。
ここから導き出される論理的結論は何でしょう。
「この方法を使えば英語は出来る!」というものは存在しないと考えて下さい。
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母国語でない言語を脳が自然に理解するためには、脳にその言語のネットワークを作ることが必須です。
これは、脳科学、言語学、言語心理学の見地からも科学的に証明されていることです。
脳が言語のネットワーク(脳細胞が密接に連携し、言語理解のルートが出来ていること)を発達させるには、言語の構造的基本として:
1、正確にその言語の音を出す
2.音を聞き分ける
3.聞いた音から内容を理解する
4.各単語の文章内での役割を理解する
5.文法の規則だけでなく、各文法の持つ役割を理解する
これらの訓練が必須となります。
徐々にレベルを上げる訓練で、長い時間も必要です。
この基本の準備が出来た段階で、特に日本語からの学習者にはクリティカルシンキングの思考法を学ぶことが非常に大切になります。
そこで、脳の言語部分が本当に起動し始めます。
1.聞いた英語、読んだ英語の内容を、論理的・科学的・客観的・批判的に分析する思考法
2.表面に書いてある、また聞いた英語の裏に示唆されている意味までも瞬時に理解出来るための思考法
英語はすべてこのクリティカルシンキングが基礎になっていますので、これなしには「英語が出来る」能力には到達不可能と言っても過言ではありません。
クリティカルシンキングの訓練にもかなりの時間が必要です。
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さて、日本人の思い込みに気がついてきましたか?
質問の最初に述べられていた「語彙や文法はきっちりできて、英文解釈も十分できる」というのも実は非常に日本人的な思い込みだと感じます。
語彙を覚えても、実際の使い方を理解していない限りは「英語能力」とは言えません。
英語では、ひとつの単語には平均して30種類の意味があると言われています。
そのすべてを自動的に運用出来るようになり、やっと英語の語彙力があると言えると思います。
文法も同じです。
例えば、受動態の文を作れても、なぜそこで受動態を使う必要があり、受動態を使うことで自分が発信しようとしている内容にどんな効果があるのか、まで理解していないと「英語の文法がわかる」とは言えないです。
英文解釈という言葉も非常に日本語的ですね。
解釈というのは、語彙、文法はもちろん、背景知識も総動員し、クリティカルシンキングを基に書かれていることを分析出来る能力であるべきです。
単に、妙な普段使いもしないような日本語文に訳することを言うのではないですね。
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人間の脳はもともとすべての言語を理解出来るように遺伝子が組み込まれていると言われています。
ただ、その能力は生後6っか月~1年で消滅し、育った環境にある母国語のみを理解するのみになります。
2言語で育つバイリンガルの子供は、その大切な時期に脳が2言語の能力を維持しているわけです。
一度失われた言語能力を再び脳に復活させるには、膨大な時間の訓練が必要なのは、ここからも明確ですね。
日本人の英語学習には、いつになったら科学が登場するのかと心が痛い思いです。
まずは英語言語の構造的基本訓練から、辛抱強く頑張ってみて下さい。
階段を一段一段昇るように、少しづつ理解していけるはずですから。
Good Luck!