大澤 眞知子
オオサワ マチコ幼児教育は早く始めるほどよいのですか?
育児・教育 子供のお稽古 2011/04/05 11:52幼児教育は早く始めるほどよいのでしょうか。特に、音楽や英語など音に関するものは、小さなうちの方が正確に身につけられるとききますが、小学校に入ってからでは遅いのでしょうか。
※この質問は、ユーザーの方から事前にいただいたものを、専門家プロファイル が編集して掲載しています。
All About ProFileさん
日本で育つ子供への英語教育は10歳くらいからがお勧め。
最近のアメリカからの研究論文結果がご質問に関係していると思います。
日本語の国で、日本人の親に育てられる幼児への英語教育には、脳の言語部分に影響を与えるほどの効果はないと思われます。 言語・脳・発達科学からの一連の科学的証拠)によると。
上述の研究論文についての詳細はコラムをどうぞ。
http://profile.allabout.co.jp/w/c-63664/
その言葉を話す生身の人間が四六時中接する以外の方法では、まったく脳の言語部分には何の影響もないということです。
CDもDVDも、英語教室も効果はないという結論です。
では、子供の脳の発達に一番大切な自由な遊びの時間を削ってまで英語教育をする必要性はないのでは?
子供の脳の発達に最適の環境について、こんな科学的根拠も発表されています。(Rosenzweig, M.R. in 1972)
[はつかねずみを使った実験]
グループ1:何の刺激もない狭い檻の中で育ったねずみ。
グループ2:広い檻でおもちゃがいっぱいの中で育ったねずみ。
グループ2のねずみのCerebral Cortex [脳の神経細胞体が集中して存在する部分]はグループ1のねずみより大きく成長しました。
「じゃぁやっぱりCDでもDVDでも何でも刺激があるほうが・・・・」
いえいえ、実はもうひとつグループがありました。
グループ3:人工的におもちゃを与えるのではなく、広い自然の環境で冒険しながら育ったねずみ。
グループ3のねずみのCerebral Cortex はグループ2よりはるかに成長し、ニューロン間をつなぐSynapsの数も増えました。 身体を動かす能力、記憶能力、学習能力、外からの刺激に反応する能力(視覚、聴覚、触覚、嗅覚、味覚)などに大きく勝っていました。
(*脳心理学の研究にはねずみをよく使います。 ねずみの脳細胞の仕組みが人間とよく似ているからです。 まさか、人間の子供を檻に入れて試すわけにはいかないですからね!)
無理にいろんな刺激を大人が用意するよりも、自然のまま、たっぷりの時間の中で子供本来の好奇心を育てるのがベストであると、大きな反響を呼んだ研究結果です。
たくさんの冒険と子供本来の経験を積んだ脳は、英語の論理を理解する準備が出来ていると思います。 個人差はありますが、小学3年生くらいが英語教育開始に最適だと思います。
30余年の英語教育の経験と、言語・脳・発達心理学の研究からそう確信しています。